第4話 窮屈

中学三年生になり、受験の年になった。

周りが受験モードになり、志望校の話を頻繁にするようになった。

その時の私は、自分の将来なんてどうでもよかった。

私が意思を持ったところで、決めるのは両親だから。

行きたい高校を見つけたところで、

却下されるのは目に見えていた。

実際、行きたかった高校は却下された。

正直、もう見てほしいなんて思っていなかった。

両親の言う通りにするしかないから。

親の意見を跳ね返す力が私にないのも事実だったし。


三年生になって、塾に行ったほうがいいんじゃないかと

周りから言われ、流されるようにその通り塾に通った。

今までの成績不振が嘘かのように、成績は右肩上がりになった。

そこで、大分頑張らないと厳しい高校にチャレンジしてみないかと、

塾の先生にも、両親にも、学校の先生にも言われ、

言われるがままに、その高校を目指すことになった。


毎日学校から帰ってきてから、

夜の十一時半まで塾に通い、

帰ってきてから、学校の宿題と塾の課題に取り組み、

いつも寝るのは二時半過ぎだった。


受験ももうすぐに迫ったある日。

中学三年間の活動を振り返る宿題を家に忘れてしまった。

仲良くしていた男の子も忘れていて、

朝の会の先生の話が終わった後に、

二人で言いに行った。

手短にしろと言われたので、

時間を短縮するために、

忘れてしまったことと、

放課後に取りに帰って持ってくることを、

その子が私の分まで言ってくれて、私は先生に頭を下げた。

私の何が気に食わなかったのかわからないが、

私だけ、クラスメイトの前で怒鳴られた。

今すぐ教室から出ていきたいくらい腹が立ったが、

その気持ちを押しこらえて、

もう一度すみませんでしたと頭を下げた。

その場はそれで収まったが、それだけでは終わらなかった。

授業中に生徒を順番に当てる仕組みがあったのだが、

私だけわざと飛ばされた。

黒板に名前を書かれるとき、

私だけ殴り書きで書かれた。

用事があって先生を職員室の入り口で呼んでも、無視をされ、

先生のデスクまで行って話しかけても無視をされ、

いないものとして扱われた。

挙句の果てには、邪魔だと大声で言われた。

それが一週間ほど続いた。

限界でどうしたらいいかわからず、しょうがないので、

母に相談した。

そしたらその時は、私のために動いてくれた。

校長室まで行き、怒ったそうだ。

それなりの対策と謝罪をしてくれないのなら然るべき処置をとると言い、

教育委員会に告発することまで考えてくれた。

私のためにそこまでしてくれたことがなく、

すごくうれしかったのを今でも覚えている。

守ってくれてありがとうと、私は母に伝えた。

当たり前だと母は言ってくれて、

今までの考えは間違っていたのでないかと当時の私は思った。


三日後。

学校に行くと、担任の先生に頭を下げられ、

申し訳なかったと言われた。

教頭先生にも頭を下げられた。

ついでに、今回の事は教育委員会には告発しないでほしいと、

釘も刺された。

あぁやっぱり大人は汚いと改めて感じた。

私にも非はあったが、許す気にはなれなかったので、シカトをして教室に入り、

いつもの日常に戻った。

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