第2話 いじめ

初めてリストカットをした日から月日は流れ、

私は中学一年生になった。

新しい環境に想いを馳せていたのも束の間、

私は仲良くしていた子にいじめられるようになった。

これは後から聞いた話なのだが、

いじめた理由は、私をいじめてきたグループの中の子の彼氏に私が、

別れろと言ったからだと。

もちろん事実ではなかった。

根も葉もない噂によって私は一年間も苦しめられたのかと思うと、

今でも虫唾が走る。

そのいじめも、最初は無視や仲間外れだけだったが、

次第にエスカレートしていき、

「死ね」「消えろ」「存在がうざい」など、

すれ違いざまに暴言を吐かれるようになった。

正直言うと、すごくつらかった。

つらいなんて言葉で片付けられるほど生ぬるいものじゃなかった。

何度も死のうと思った。

何度も何度も手首を切り、毎晩血と涙が流れていた。

先生に相談しても何も変わらなかった。

当然、両親は私の事なんか見ていなく、相談なんてできなかった。

大人なんて信用できない。

人間なんて信用できない。

先生に助けを求めても何も変わらなかったあの日に、

私は心の底からそう思った。


どこにも逃げ場なんかなくて、誰も助けてくれなくて、

きっと私が死ぬまで誰もそばにいてくれないんだろうと感じた。

絶望だった。

十三歳の私にとって、世界はあまりにも汚くて、

息苦しかった。

教師は、大人は、

都合のいいことにしか力を注がない薄汚れた子供だと思った。


いじめられている側にも非があるなんて事はない。

どんな理由があろうといじめていいわけじゃない。

その通りだ。

ではなぜいじめが減らないのか。

そんなことを大々的に謳っている大人は、

大抵、事が大きくなってからじゃないと動いてくれない。

助けてなんかくれない。

いじめの被害者が、学校に来れなくなってからじゃないと、

精神的に参ってからじゃないと、

自傷行為をしてからじゃないと、

自殺をしてからじゃないと、

気付いてくれすらしない。


残念だが、それが現実で、それはとても残酷だ。


実際、私も、手首に巻いていた包帯から血が滲むまで、

包帯の中に隠されている傷を見られるまで、

いじめられ続けた。

誰も助けてくれなかった。


今でもその時の傷は消えていない。

きっと、いや絶対、この先も彼女たちの事を恨み続けるだろうし、

きっと、この先も私は世界に絶望したままだろう。

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