第5話 結婚

昔のことなので、女学校を卒業すると同時に嫁入りするのが当たり前だった。

卒業が近くなると、麗しい五十鈴には婚礼の話が尽きない。親はいい相手を探してきた。家からは少し遠いが、それなりの家だったのだろう。

小さい頃から聞かされた話しでは、笑い話程度で聞き流していたが、今考えると、なかなかの衝撃だ。

新婚当初から、旦那さまはおとなしく、オトコとして役にたたず、こどものソレのごとく、親指程度だったらしい。

いくら、昔の女の子が純白で初々しいままだっだとしても、オカシイ…と感じたようだ。

挙げ句の果てには、夜な夜な五十鈴の布団に舅が入りこんできた!

五十鈴はそれはそれは恐ろしくなり、取るものもとりあえず、実家に逃げかえった!

大事に大事に育てた長女の嫁入りであった。嫁に持たせる家具一式も最高級のものばかり。それを全て投げうってでも、もう2度とその家に帰ることなく、1度目の結婚は終わったのだった。

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