第3話 こどもの頃

5人きょうだいの長女だった五十鈴。妹がひとり、弟が3人。1番期待され、ちやほやされて育てられたのは間違いない。

尋常小学校の写真を見ても、ちゃっきり顔。背筋は伸び、自信に満ち溢れ、気の強さは凛々しい眉毛と大きな目から見てとれた。

そんな尋常小学校の話しで、忘れられないのが、みんなで屋外で活動していたときのこと。

離れた東の空に大きな龍が昇っていったそうだ。ウロコまでしっかり見えたとか。そうしていると、反対側の空にも、もう一体の龍が同じように天に昇っていったらしい。

にわかに信じがたいが、たくさんのクラスの子どもたちと共に、先生も見ていて、そのときの大興奮がうかがえる。大正の日本にはまだそんな世界が残っていたのだろうか。

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