第2話 おいたち

五十鈴が産まれたのは、明治の終わり、片田舎の山あいにある集落。

父はちょっとしたいい男で、周りにも影響を与えるような立派な人格者。五十鈴が尋常小学校のとき、学校に、茶道を取り入れてはどうか?と提案すれば、それは素晴らしい!と絶賛され、すぐに話が通るほど慕われていたそうだ。

母は、父を立てて、ひっそり家庭を守る女らしい人。父がおめかけさんのところに毎晩通っていても、文句のひとつも言わずに、家事に勤しむ健気な女性。昔の写真を見ながら、そんな話しを聞かせてくれた五十鈴だったが、母親のことは、サルみたいな顔してたね!と笑っていた。

そんな夫婦の長女として産まれたのが五十鈴であるが、それはそれは大切にされて育ったようだ。あとは、五十鈴が産まれたとき、近所の長老が五十鈴の足の裏を見て、

「この子は長生きするぞー!」

と驚いていたそうだ。足の裏には五十鈴の運命が現れていたのだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る