九州地方本部の会議のあいまの 梅の花の宴
そして、わたしが九州のある国の国司だったとき、大宰府の長官の大伴旅人さんから九州の全部の国の国司に呼び出しがかかった。会議の議題に言語問題がふくまれていたから、わたしは当然出席することになった。各国それぞれの現状を出しあったが、解決案はなかなか出なかった。
旅人さんは会議を梅の花がさく季節に開こうと思った。会議のあいまに、みんなで花を見て、歌をうたって楽しみたかったのだ。実際の日程は立春のころになって、梅は満開ではなかったがいくらかさいていた。そのもとで、ひとりひとり歌をつくってみよう、それをみんなでうたってみようということになった。
こうなると、わたしには仕事がある。元正上皇が、日本でつくられた歌を、なるべくすべて集めたいとお考えになった。それで、わたしには、歌がつくられたら記録せよという指令がくだされていたのだ。旅人さんも指令をもらっているはずだから、だれか記録してくれと言うだろう。当時のわたしには意義がわからない仕事だったが、恩義のある上皇のお達しには従わないわけにいかない。わたしは記録係をまじめにやった。自分が歌をつくるひまはなかった。(わたしのへたな歌が記録にのこらなくてよかったという気もする。)
しかし、気にいった歌をうたいつづけている同僚たちのようすを見ているうちに、ここに懸案への答えがあるかもしれないと思った。
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