第4話 私だけに寄り添う想い

ま、まぶしい…朝…?


「う~ん…なんか…重い…何?」といいながら私は目をあけた!


そしてそれは…誰かに抱きしめられている感覚だった…。


私は恐る恐る上の方を見上げるとそこには眠っている彼の顔が!!


「はっ!!な、なんで?」といって抱かれている彼の腕を振りほどき、私は飛び起きた!


しかもあたりを見渡すとなぜかベットの上に!!


「なんでベット?たしか…私…ソファーの下に座ってチューハイ飲んで…それから…」


とあれこれ考えていると横の彼が頭をかきながらむくっと起き上がった。


「おはよう…よく眠れたか?」


私は彼に目をやってはみたものの…今の状況をのみこめずぼーっとしている自分に気づく。

服はちゃんと着てる…だからそうゆうことは…なかったよね…たぶん…。


ぼーとしている私に気づいた彼は私を覗き込んで言った。


「なんて顔してんだよ…なんもしてねーよ…。」


といって笑った。


「じゃあ…なんで2人でベットに?たしかあんたが寝てたから私…その横のソファーの下で座ってたと思うんだけど?」


私は自分の疑問をとりあえず彼にぶつけた。


「はぁ…お前なぁ…俺が本気で寝てたと思ったわけ?」


「えっ?ちがうの?」


「寝たふり…本気で寝れるわけねーだろが…お前がそばにいるのによ。」


「えっ!」

そう言われて一瞬ひるんだけどそこはすぐ正気をとりもどした。


「でもひどいよ!なんでそんなこと…ってゆうかもしかして私の独り言…聞いちゃってた?」


私はだんだん自分が寝てしまう前のことを思い出していた。

なんか一人で余計な事をぺらぺらと…恥ずかしい…もう最悪…。


「ああ…全部な…あれがお前の本心なんだろ?元カレを忘れられないってな。俺もそう思ってたよ…だから

寝たふりをした…。そうしなきゃお前…困るだろ?それに正直いうと俺も自信なかったし…」


「何が?」


「お前を前にして…理性で抑え込める自信がな…。お前が寝た後、抱いてベットに運んだ…。で…おれはソファーで寝ようと離れようとしたらお前が…行かないで…って抱きついてきて…そのまま…」


「うそ!全然覚えてない!やだ…私…ごめん…。」


無意識にそんなことを口走るなんて…私…やっぱり元カレへの気持ちの整理なんかできてなかったんだ…。

それなのに無神経に家に誘うなんて…ほんと最悪な女…。


そのとき、彼が私の頭をポンポンとなでた…。


「もういいよ…俺も気持ち先走り過ぎた…ごめんな。ほんとはお前が元カレと別れた理由…なんとなくわかってた…。」


「えっ?なにそれ?」


「お前…仕事も恋愛も両方頑張ろうとしてただろ?そこに問題があったんじゃねえの?」


図星だ…。


私もいろいろ考えてそうなんじゃないかって…。

でもそれじゃあ…だめなの?

私はすぐに返せる言葉が出てこなかった…。


「俺、男だし…なんとなくな…。普通の男なら仕事より自分を最優先にみてほしいんじゃねえの?自分の彼女には…。」


「うん…そうだよね…。」



「なんだよ…やけに素直じゃねぇ?お前らしくねえじゃん!いつもなら言い返してくんだろ?ほら…。」


私らしい?何それ…だから元カレとも別れたっていうのに…。


「私らしいって何?恋愛って仕事よりもずっと難しいんだね…私…やっぱり自信ない…。」


目の前の彼が初めて大きなため息をついた…。


そして、うつむいている私のあごをクイッと自分のほうへ向けさせた。


「だから俺なんだろ!俺ならお前のことをすべてわかってやれる!仕事も恋愛も両方な!」


私は顔がカァーと真っ赤になるのがわかり恥ずかしくてまた下をむいてしまった。

彼は小さく笑う…。


「お前…こんなに可愛いかったんだな!もっと早く気づくべきだった…。これからは俺がそばにいる!だから仕事も恋愛も全力でぶつかってこい!こんなややこしいお前を受け止められんのは俺しかいねぇだろ?」


私は心のどこかで…こんな言葉を待ってたのかもしれない…。

私のすべてを受け入れてくれる…こんな…安心できる言葉を…。


「うん!!」



私は彼に思いっきり抱きついた!力いっぱいに!


「もうふっ切れたから大丈夫!ありがと!」


「そっか!ならよかった!」


私たちは朝のベットの上で座りながら抱き合っているというちょっとめずらしい光景に気づくのに、それほど時間はかからなかった。


「なぁ…そろそろ…離れてくれないか?ちょっと…きついかも…。」


「えっ?なに?どこか具合悪い?」


「いや…そうじゃなくて…ここ…」


といって下の方を指さす。


そういわれたと同時に私のお腹あたりに妙な硬い違和感が…。

視線を下へ向けると…。


「やだ!これって…」


「男の生理現象…それにお前がこんなにくっついてくるから仕方ねぇだろ…。」


と彼は照れたような困った顔をしている。


「昨日からどれだけ我慢してると思ってんだよ…。」


「ごめん…。じゃあ…抱いていいよ…。」


といったとたん、私の両ほほが軽くつままれた。


「いったいなんのために俺が…俺が…くっくっくっ…もうだめ…ははははは!」


私のほほをつまんだその顔がおもしろかったのか、彼は一人で笑い転げていた!


「なによもう…失礼しちゃう!」


「ごめん…ごめん…あんまり可愛いかったもんで!あのな…俺はお前を今すぐにでも抱きたいよ…でも迷ってるお前を無理やりは…嫌なんだ…俺…。お前…仕事ではいつも絶対的決断を下すだろ?そうゆうとこほんと好きだから…!自分の気持ちに正直になってちゃんと決心がついたら…その時は…な?」


さっきの笑ってた顔が一転…急に真剣な顔で話す彼がさらに頼もしく思えた…。

私はそんな彼がたまらなくカッコよく思えたのか…彼に再び抱きついていた!


その拍子に彼をベットに押し倒してしまっていた。


「おい!さっきの聞いてなかったのかよ…俺は…」


「決心ついたから!恋愛での絶対的決断…今…下せたから!」


私は彼の胸に顔をうずめながら必死でそう伝えた…。

自分の気持ちをすべて伝えたという安堵感をかみしめる間もなく…私の体は宙を舞いベットへ沈み込んだ…彼の体とともに…。


「ほんとなんだな?じゃあ俺も我慢のブレーキを外すか…。」


というといきなりのキス!!

しかも…深い…熱い…長い!!


キスをしながら…私の頭や体を包み込むようにまわされた彼の長くたくましい腕が…手が…私の体を優しく…そして愛しくなでてくれる…。


ほんとに我慢してくれてたんだ…ごめんね…と心の中でささやいた…。


「ちょっとまって…これはもういらねぇよな…。」


といいながら彼は元カレのパーカーをベットの脇に脱ぎ捨てる。


「うん…」


彼が再び強く抱きしめてくる…。

上半身があらわになった彼の体は少し汗ばんでいたけれど…熱くて…たくましくて…私にはとても心地よかった…。


「これからは俺だけを見てろ…俺だけを頼れ…そして…俺だけに抱かれてろ…。」


私は彼のあたたかな胸の中で身も心も癒されていくのを感じていた…。


そう…私の帰る場所は…あなたの胸の中だけなのだから…


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私の心を癒すのはあなたの胸の中だけ 水天使かくと @sabosuke

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