【トランスフォーム先輩と二人きり】

先生「小菊、岸、手空いてるか?」

万「はい?」

椛「なんかの手伝いですか」


先生「グラウンドの金網が壊れかけててな。業者を呼んだはいいが、明日授業で使うから、最低限応急処置だけでもできないか?」

万「まあ、わかりました」

椛「別に俺たちなら、完全に修復もできるんだが……」

万「そこは校長から言われてるんじゃない?」


万「じゃあ、小桜さん、留守番よろしくね」

ち「はい」


ち(今日は珍しく、鏡柳先輩が帰っていない。ずっとスマホを眺めている)

ち(嫌いなわけじゃないけど、話すことがないんだよな。殆ど部室にいないから、どんな人かもよくわかってないし)


ち「鏡柳先輩って、普段何してるんですか?」

愛「いや、別に何も…?」


愛「男の時は、適当にナンパして、ついてきたら分身の僕を登場させて格の違いを教えてやったり。逆にナンパしてる男に声かけたり。モデルのスカウトを片っ端から断ったり……」

ち「あ、もういいです。大体わかりました」

ち「鏡柳先輩、めちゃくちゃ性格悪いことしてますね!? いつか刺されますよ」

愛「刺されたことあるよ。女の子に」

ち「すでに経験済み!!」


愛「でも、僕の美しさを世に知らしめないと、かわいそうじゃない?」

ち「先輩がかっこいいのは認めますけど……」

愛「その辺の女優やモデルなんて、所詮井の中の蛙。僕という『美』を差し置いて思い上がるなんて許されていいはずがないでしょう? だから、現実を教えてやってるんだよ」

ち「うわーめちゃくちゃ性格悪い……。逆にすごいな!!」

ち(ここまでの発言をしても許されるほどの美貌って逆に何!?)


愛「僕がどれだけ他人を見下そうと許される。僕は美しいから!!」

ち「ハン〇ックみたいになってる」

ち(まあ、実際似たようなものか)


ち「鏡柳先輩よりかっこいい人とかかわいい人っていないんですかね?」

愛「そりゃ、僕の超能力は相手の理想に変形できるし、そもそも好意や憎悪を操ることもできるからね。あ、理由ワケあって使えないけど」

ち「それって聞いてもいい理由ですか?」

愛「前の部長に怒られる」


ち「え、それだけ!?」

愛「いや、めっちゃ怖い人だから。怒るとマジで手が付けられないから!!」

ち「じゃあ、先輩方は前の部長さんに頭上がんないって感じですか?」

愛「そうだね。いつもふてぶてしい椛も先輩の前ではしおらしいからね」

愛「先輩の前だと万のセクハラも減るんじゃない?」

ち「ええ、考えられないなぁ」

愛「一回、怒られたことあったからね。三人とも違う理由で」


ち「ええー。どんな感じですか?」

愛「万は言わずもがなセクハラで」

愛「椛は挨拶をしなかったことと部活をサボりすぎたこと」

愛「僕は、先輩に美しさでマウント取ったこと」

ち「いや全員相変わらずすぎるでしょ。こりてなくないですか?」


愛「アレでも、減った方なんだけどねぇ」

ち「入学当初の先輩方、やりたい放題だったんですね……」

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