【超能力先輩と物理部】

楓「でさ、昨日お母さんがさ…」

ち「え、超やばいじゃん。よく怒られなかったね」

??「あ、あの!!」


ち「ん? たしか…湯川君だよね?何か用?」

湯「小桜さんって、超能力研究会に入ってるって聞いたんだけど、ホント?」

ち「そうだけど、何?」

湯「先生に聞いたら、お悩み相談みたいなこともやってるっていうから…」

楓「え、初依頼じゃん!! ちよ頑張ってー」

ち「まぁ一応聞いてあげるよ」


ち「というわけで、先輩。これから物理部を設立しようとしてる湯川君と山川先輩です」

湯「一年の湯川です」

山「三年の山川だ。小桜が言った通り、物理部を作ろうとしてるんだが…」

椛「設部の条件は、三名以上の部員、内一名は一年生であること。具体的実績になり得るもの、たとえば大会などの出場目標があること。の二つだな」

ち「なんで、先輩の生徒手帳はそんなにボロボロなんですか。あ、やっぱり聞きたくないです」


椛「だからだ」ドヤァァ

愛「アハハ、聞きたくないって言ったのに……」


万「……。これはとても重要なことだから、絶対に答えてもらうんだけど、湯川君の好きなタイプはどんな人かな? そもそも彼女いる?」

湯「急になんですか? えと、強いて言うなら、茶髪巨乳黒ギャルとかですかね。あ、胸のあたりにほくろがある方がいいです。……こんなんでいいの、小桜さん?」

ち「私に振らないで」


万「ふうん、嘘が混じってるけどギリ許せるかな」

山「そうか、湯川は黒ギャルが好きなのか。私は黒ギャルではないからな」

ち「山川先輩の髪って染めてるんですか?」

山「地毛だ。母と母方の祖父母も色が抜けてるんだ」


愛「ああ、そういうこと」

椛「万も意地が悪いな」

山「……?」


万「で、本題に戻るけど、俺たちに協力してほしいことっていうのは?」

山「物理部ではペットボトルロケットの大会に出場しようと思うんだが、部費も経験もないからな。下調べはしてあるから作業の手伝いをしてほしい。君たちは雑用部なんだろう?」

ち「微妙に違いますけど、手伝いは引き受けます。いいですよね、先輩?」

万「まあ構わないよ。それに面白そうだし」

椛「ペットボトルロケットなら、造ったことあるよな」

愛「万と椛の超能力で、ホントに宇宙まで飛ばしたんだよね」


山「ははは、面白い冗談だな。ぜひ期待してるぞ!!」

湯「っていうか、山川先輩、ペットボトル用意してますか?」

万「え、そこからなの?」

山「案ずるな。ここ数日飲んだ飲料類のペットボトルを捨てないように取っておいてある」

ち「へー。持ってきてるんですか?」

山「……家だな」

万「はぁ超能力で取ってきますから、行きましょう」


5分後


山「ハハハ!! 本当に超能力があるとは!!」

湯「あががが…。これ笑い事じゃないですよ。だって、本当に瞬間移動してましたよね」

ち「案外先輩って隠したり躊躇ったりしないですよね」

万「そのために俺たちを頼ってきたんでしょ? ある程度の手段は選ばないよ」


山「まあなんにせよ、材料はそろったわけだし、ロケットを作っていこう」

湯「あ、ロケットづくりに超能力は使わないでください」

万「さすがにそのぐらいはわきまえてるよ。っていうか、もう一人の部員は?」

湯「自分の友達が名前だけ貸してくれてます。もとから、幽霊になるつもりだったらしいんで」

ち「ああ、いつも一緒にいる長谷君か…」

万「ちなみにその人って彼女いる?」


椛「男の嫉妬は醜いね」

愛「人に物を貸してる時の椛もあんな感じだよ」

山「口ではなく手を動かせ。……岸は手際がいいな」


一時間後


山「うむ、完成だな」

ち「意外と早くできましたね」

万「湯川君があらかじめ図面かいててくれたからね。作りやすかったよ」

山「湯川は私が見込んだ男だからな。物理学に対する熱意が強いんだ」

湯「ちょ、先輩!! 抱きしめないでください…」

万「いちゃつくなら他当たってほしいんですけど……」


後日談

山「と、いうわけで無事部活申請が降りた。今度は爪楊枝でエッフェル塔の模型作りをやるんだが、見に来るか?」

湯「手伝いが欲しいんじゃなくてギャラリー目的です。この人、物理のすばらしさを人に伝えたがる人なんで」

椛「俺が見に行ってやろう。案外面白そうだ」

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