【超能力先輩とシュークリーム】

ち「おはようございまーす」

万「おはー」


ち「はぁ、先輩、机に寝転がらないでください。明日漢字の確認テストなんで、勉強しなきゃいけないんです」

万「何の意味も無く机に寝てたわけじゃないよ。じゃじゃーん」


高そうな箱キラー


万「驚かせようと思ってこれを隠してたのさ」

ち「なんですか、これ?」

万「校長が花瓶割っちゃってさ。それを直したお礼だって」

万「中身はシュークリーム。甘い物好き?」

ち「まぁそれなりに好きですけど…。これ、高い奴ですか?」

万「わかんないけど、そうなんじゃない?」


ち「あ、箱の中に入ってた紙になんか書いてありますよ」


紙『極上の旨さと気品ある甘みをあなたに。』

ち「値段とかじゃないんかい!!」

万「いや、普通値段は書かないでしょ。でも、今ネットで調べたら出てきたよ」


ち「……」

万「え、どういう表情?」

ち「いや…超能力使いましょうよ」

万「何その理不尽…」


ち「まぁいいや。それより、一個いくらですか?」

万「うんとね、二個で三千円だけど、四個入りの奴だと五千円だって」

ち「これは…。二個入りが二つ? あ、でも包装の痕がある…」

ち「これで四個入りってことですかね」

万「あー…。そうみたいだね」


万「一個ずつ食べてって言われたけど、椛と愛の分はいいよ」

ち「え、大丈夫なんですか?」

万「来ないのが悪いし。っていうか、さっきラインで聞いたらいらないって」


ち「えー。愛先輩は食いつきそうなイメージだったのになぁ」

万「今はスタバのキャラメルフラペチーノ飲んでるよ。ホイップメガ盛りで」

ち「ああ、インスタですか」

ち「いやホイップでかいな。全体で顔ぐらいあるんじゃ…」


万「まあ胃もたれしそうなもの食べてるから、放っておいていいでしょ」

ち「岸先輩は…?」

万「まぁ、『キョーミない』っていうだろうね」

ち「似てますね」

万「ハハ、俺上手いでしょ。愛もできるよ」


ち「じゃ、それはまた今度で。今はシュークリームですよ!!」

万「どういう切換えの速さ…!?」


万「お茶も用意しようか。小桜さんも飲むよね?」

ち「あ、手伝いますよ」

万「ありがとう。お湯の準備するから、カップ持ってきて」


ち「素朴な疑問なんですけど、なんで部室にカップがあるんですか?」

万「もともとは椛が持ち込んできたんだよね。それがいつの間にか全員分そろっちゃって…」

万「前の部長も面白がって、いいよって言ってくれたしね」

ち「私のカップが『プリキュア』なのは…?」

ち(?)

万「た、他意はないよ……」


ち「……先輩と色違いでお揃いなのは?」

万「…た、他意はない……と思う」

ち「ふーーん」ジトー


万「そ、それより、食べようか」

ち「まぁ、ごまかされてあげますよ」


ち「いただきまーす」

万「いただきまーす」


ち「甘くておいしいですね」

万「結構大きいから、食べんの大変だね」

ち「もう一個いただきますね」

万「早いね…。体はちっちゃいのに、一口は大きい……」

ボゴッ

万「痛い…」

ち「余計なこと言うからですよ!!」



後日談


万は2つ食べられなかったので、楓に食べてもらいました。

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