【私と部活】

ち「ねえ楓、ほんとに何ともないの? ヘアピンは?」

楓「だから大丈夫だって。普通に調子いいよ。ヘアピンも大切なものではあるけど、あれしかないわけではないから」

ち「やっぱり返してもらった方がいいって。あの先輩たち、どっちもヤバそうだったじゃん」


楓「それより、部活決めたの? 演劇部とかよくない?」

ち「演劇は中学の時いろいろあったからヤダ」

楓「あー!! 文化祭で幼稚園児役やったやつ?すごくおもしろかったなぁ」

ち「ほんとにこの体嫌なんだけど。ちゃんと牛乳飲んでるのに全然伸びないし」


楓「運動系の部活は危ないからできないし、歌も声が張れなくて出来ないし、楽器重くて持てないし。っていうか、ちよは音痴だもんね」

ち「ほんと、私が入れる部活なんてほとんどないわ。怒られたくないからちゃんとやるけどさ。あと、何部があるかな…?」

楓「マネージャーは…?ああ、だめか」

ち「ここまで背が低いと、ほんとに不便よ。高校生用のモップが持てないんだもん」


ち「楓は高校でも歌続けるの?」

楓「うん。さすがに合唱はもういいけど、演劇っていうか、歌劇てきなことやろうかな」

ち「じゃ、放課後は別行動だね。そっち終わったら連絡して」

楓「おっけ。あ、文芸部とかは?」

ち「ああ、いいね。行ってみる」


文芸部部室(図書室)


ち「失礼します。一年の小桜です。見学に来ました…」

顧「部活動見学……。ずいぶんとちっちゃいわね。身長いくつ?」

ち「139cmです。っていうか、関係あります?」

顧「うーん。うちでは書庫の整理とかもやってるんだけど、大変かもしれないわよ。カウンター作業もできないし…。身体的なものだからしょうがないとは思うけど、はっきり言って難しいと思うわ」

顧「たぶん、他の部活も危ないからって断られたのよね。生徒指導の先生に言って、特例で部活の強制参加から外してもらった方がいいんじゃないかしら?」


ち(またか…。)

万「あ、小桜さんじゃないか。僕たちの部活に入る気にはなったかい?」

顧「あら、小菊くん。今日もたくさん本を借りていくのね。ああ、そういえば、超能力研究会の部長さんだったわね。この娘が入っても大丈夫かしら?」

万「ええ。たしかに僕たちは危険な実験をしていますが、十分安全に配慮していますし、可愛い可愛い小桜さんを危険な目には合わせませんよ!!」

顧「それはいいわね。小桜さん、超能力研究会はどう?興味ないかしら」

万「ちょうどこれから活動を始めるところだよ。見学でもどう?」


ち「はい、わかりました。見学してみます」(行きたくねー!!)


超能力研究会部室にて…


男「…というわけで、バレー部に入部するにはあと2.5cm身長を伸ばさないといけないんです。三年の先輩が196なんで、自分はきりよく2m行こうかと思って。お願いします!!」

万「うんうん。男は背が高くてなんぼだからね。大丈夫大丈夫。ただ、ちょっと、このスーツ着て大人の振りしてコンビニで雑誌を買ってきてほしいかな。もちろん、きちんと君の身長を伸ばしてからね」

男「エロ本買って来いってことっすか?」

万「ははは。女の子の前でめったなこと言うなよ。まあでもおおむね当たり」


ち(なにあれ?『骨の仕組み』『人体図鑑』『骨の構成要素』『骨密度バランス』『成長痛と向き合うシーズン2』『脳幹に関する考察論』)

ち「変な本ばっかり…」ボソッ


万「ふうん。ふむふむ。なるほどな…。OK、大丈夫だ。ちょっと痛いかも」

男「え、今その本たち読んでたんですか?ぺらぺらやってただけじゃ…」

万「大丈夫だから、そこで横になって。はーい、いくよー」


ミキミキ…。ビキビキ…。ミチチチ…。イッテエ!!

万「ちょっと我慢してね。おkおk。大丈夫だよー。OK!!」

男「ん-。ちょっと目線が高くなった気もしますけど、分かんないっすね」

万「そこに、身長測るやつあるよー。椛、それだして」

椛「この娘の名前は身長計の『ミケ』だ!!全く…。物を大切にしろ」

万「ごめんごめん…。はい、2mジャストね。どう?」

男「え?ほんとだ!!マジで超能力じゃん!!」

万「じゃ、明日でいいからエロ本待ってるよ。あと、このことはなるべく人に話さないようにしてね」

椛「ま、どうせ話したところでキチガイ扱いされるだけだがな」


ち「あ、あの!! 私の身長も伸ばしてくれませんか…。部活にも入りますから。お願いします!!」

ち(隣で見てた私はわかる!!このひと、本物の超能力者だ!!)


万「無理だね。俺は君がちっちゃいまま部活に入ってほしいから」


ち「は…?」

万「俺、ロリコンなんだよね。だから、小桜さんみたいな娘はすっごくタイプなんだぁ。だから、君の身長を伸ばすために超能力は使わない」


ち「ほ、本気で言ってるんですか…?キモ…」

万「ふへ、その顔いいね。クッソ可愛い!!! ねえねえ、おてて触っていい?」

ち「気持ち悪いです。近づかないでください!!」

万「逃げてもいいけど、すぐに追いつけちゃうよ? 瞬間移動も高速移動も出来るし」

ち(この人、ほんとにヤバい人だ。なまじ顔がいい分余計にたちが悪い。)


椛「子犬みたいな顔してこっちを見ても無駄だぞ。俺は万のやりたいようにやらせるからな。それに、お前が入ればこの部室を失うこともない」

万「俺はね、意地が悪いからね。小桜さんに直接何かをすることはないよ。ただし、小桜さんが超能力研究会に入らざるを得ないようにするだけ」

ち「何が…目的ですか…?」

万「んー。小桜さんが可愛いから傍にいてほしーなと思って」


ち「きっも…。まじの変態ですか」

万「んふ…。その顔すごくかわいいね。写真撮っていい?」

ち「あーもう!! 勝手にしてください!! 私が少しでも身長伸びればロリじゃなくなりますよね。そうなったらちゃんといい感じの身長にしてくださいよ!?」

万「ま、確約はしかねるけどいいよ。んふふ、髪の毛触っていい?」

ち「ダメです!! 私に触らないでください!!」

万「えー少しだけだから―」

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