第26話「すれ違い」140字【緑色、橋、ぬれた物語】

この絵と同じ場所だね。

君は橋のたもとで絵本を開いて笑った。

違うくね?

首を傾げた僕に、真っ赤になって怒る君。

緑色の風が、熱を冷ますようにそよいだ。


季節は移り、冷たい雨の下でひとり。

君が置ていった絵本を川に捧げて、ブルーにぬれた物語を見送る。

いまさらだけど、君はどんな色を見ていたのかな。






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