第20話「未開封」140文字 【階段の踊り場、ペーパーナイフ、預かる】

昼休みに階段の踊り場で、彼の親友に手紙を託すと、預かる、と頷いてくれた。

放課後、意中の彼は、普段どおりの笑顔で私に挨拶をして行ったので、手紙はまだ渡されていないと思った。

昇降口のゴミ箱の前で足が止まる。

折り皺のついた未開封の手紙。

胸が痛い。

まるで、ペーパーナイフで裂かれるように。


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