第16話「覚り」140文字 【虹、車、消えた記憶】
車の事故以来、妻の記憶は一日しか残らない。
毎朝、あなた誰? で始まる。
消えた記憶の代わりに小説の続きを勧めた。
書きかけの虹の場面。
読み返しては一日400文字、半年で完成した。
まだ虹の途中よ。
訝しげにも読み耽っていた。
翌朝、目覚めの一瞬「ありがとう」と微笑み、永遠の眠りについた。
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