第6話「背中」140文字【サイコロ、ブルース、魚】
『人生はサイコロ。
天地東西南北、転がりどうしさ』
惣菜店の親父が、汗だくで炭火の前で魚に串を通す。
ギターで食うことに挫折した俺は、馴染みの店でつい愚痴をこぼした。
一本のホッケを手に、外の椅子に座る。
夕暮れに、芳ばしく柔らかい熟年の味が沁みる。
口笛を吹く老年の背中に、ブルースを聴く。
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