人格障害の多い頃
第13話 告白
それは、ふとした瞬間だった。
母と出かけた帰り道。暗くなっていたと思う。街灯が点いていた。
母との会話がふと途切れた時だった。
「お母さん、私は弟にヤラれたんだよ」
「何を?」
「レイプしたの、アイツ」
どうしてそんな話をしたのか、今でも分からない。どうしてそのタイミングなのか、今でも分からない。
ただ、父に話せなくて暗くて母の顔が見えなかったからかもしれない。
母の返答を覚えていない。何故だろう、人格が変わっていたのかもしれない。もしくは、「今」話している私がその時生まれていない人格なのかもしれない。
それから、母は「暫くは」弟の話はしなかった。だが、また会話の中に弟の名前を出し始めた。当たり前の家族のように。
悔しくて、泣いた。
だから、父にはメールで簡潔に話した。父は何も言わなかったが、父も「暫くは」弟の名前を口にしなかった。
ギクシャクした生活が始まった。
私は、家族を壊した。
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