第12話 姉

姉の話を少し。

姉は、両親を毛嫌いしていた。


親は貧乏であがいている中、とある宗教にのめり込んでいた。

小さな頃、訳も分からず集会やら会合に連れて行かされた。題目を唱えるよう、強制された。


題目を唱えれば、いつかこの貧乏から抜け出せると。

そんな親を、嫌っていた。

貧乏が嫌なら、賭け事を辞めればいい。離婚すればいい。勝手に産んだくせに、宗教になけなしの金渡して、私達に服や欲しいもの一つも買ってくれない。

だから姉は、就職すると家を出た。近所で独り暮らしをしている。


こんな腐ったDNAは、絶対に残さないから結婚しない。子供なんて産まない。


姉の少し私と違う歪んだ人生観は、親に作られた。姉も、身内から人生を狂わせられた。


また、姉は生理的に小さな頃から弟を嫌っていた。姉の感を羨んだ。



私と姉は、比較的仲が良い。一緒に出かけたりするし、姉は常に私を可哀想に思っていたのか、私が欲しいものを買ってくれたり旅に連れて行ってくれたりした。


皮肉にも、身内に人生壊された姉と私は何故かこんな壊れた家庭でも護ろうと、黙って笑顔の裏に闇を抱えていた。

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