第11話 人格障害
ゴミが家を出た。派遣から正社員になったとか母と話していたが、あまり頭に残っていない。
私は喜んだ。夜にビクビクしなくていい。あの汚らしいモノを見なくていい。
部屋は汚らしいまま出ていった。私は即座にゴミのゴミを全部捨てる事にした。
本当に、気持ち悪い作業だった。自分で性処理する道具やアダルト関係のもの。泡風呂嬢達の名刺の束。
アルコール消毒し過ぎで、手が荒れて大変だった。あまりにも気持ち悪くて、私は既に家を出て独り暮らしをしていた姉にメールした。
簡単にだが、私が中絶した理由と家族に隠していた訳。姉から暫く返事はなかったが、数時間後に「気付いてあげれなくて、ごめん」と返信があった。
私はこのときの話をすると過呼吸になり涙かあふれて止まらなくなるので、あまり私の口から直接話しは出来なかった。
だが、この時期は割と静かな気持ちで姉とやり取りをした。
この時期は、嫌な気分にはなるが冷静でいる時が多かった。
記憶が無い時や、知らない間に時間が過ぎていた時が多い。私が記憶ない事をしていた、なんて事もあった。
大森先生に、私は話すことにした。
先生は私の病名を双極性躁鬱病と診断していた。だが、先生は静かに話した。
「多分、解離性人格障害だね」
この時、私には理解できる三人が居た。
主人格の、弱くて幼い私。
周りのことを無視する、人格。
強気で喧嘩気質な、私。
ひょっとしたら、他にも居たかもしれない。
そうして、ビリー・ミリガンみたいに本当に違う人間みたいな人格が、必ずしも生まれる訳ではない。私は外国語を流暢に話せないし、特化した能力がある訳ではない。
だが、確かに私とは違う感覚を持つ「誰か」がいるのを感じていた。
私は一人ではなかった。
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