第7話 不幸は続く

ここまで聞いて、何故私が家を出なかったか不思議に思うでしょ?


もう、中絶したあの日から頭がおかしくなっていたのかもしれない。DV被害者が別れないのと同じで、逃げることが頭に浮かばなかった。


何だか、過ぎ去る日々の中思考が麻痺してくるのがわかった。


そんな時、親友の結婚式をすっぽかした。勿論わざとじゃない、本当に考える能力が停止していて参加の返事を出せなかった。

親友二人と、絶交状態になった。


悲しかったけど、他人事みたいだった。


不幸は続き、私は会社が合併した事により田舎に飛ばされた。


最悪の土地だった。閉鎖的で、受け入れてくれない同僚達。

だから私は、嫌がらせの為に大口の取引を沢山契約した。上層部には気に入られたが、それが悪循環で私は仕事場に馴染めなかった。


更に不幸は続き、そのエリアで有名なクレーマーに出会ってしまった。危ない人だと誰も教えてくれなかった。毎日嫌がらせの電話をしてきて、プツリと私の心は折れた。


会社を辞めることにした。そのへんの記憶は、本当にない。

後述するが、私の違う人格がそれらを受け止めてくれていたのだ。


毎日夕方に起きて、夕飯を少し食べるとまた次の日の夕方に起きる生活になった。

必然的に、一ヶ月で体重が10キロは減った。亡霊のような姿だったに違いない。


時期が少し違うが、その辺りで屑が就職をした。部屋でネットばかりしていたから、IT系の会社に行ったようだ。自分の弱さで学歴を得ない屑の得意分野で、ブラック企業に就職した。社畜になったらしい。毎日深夜に帰ってきていた。しかしそれは最初の内だけで、仕事を終わられるとキャバクラや泡風呂に通っていた。部屋に嬢の名刺が山のように積んであった。性欲だけは、異常にあるようだった。


私のやつれ具合に、ようやく母が私に心療内科に行くように勧めてきた。

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