第2話 子供の頃と事件

 母は、ドライな人だった。感覚も人と違う気がする。私の目には、ダメ男の父を構う自分に酔っている気がした。


 小学生と中学生は、私はアクティブ系だった。外で遊ぶのが好きだったけど、本を読むのも好きだった。図書館で過ごすのが多かった気がします。

 その頃、淡い恋心を同級生に抱いていました。告白する勇気もないけど、毎日話すのが楽しかった。


 弟は、中学生になると虐められる対象になった。本人には聞いていないけど、学校に行くふりをして近所の空き地で時間を潰していたらしい。担任から、学校に来ないと母に連絡も来ていたようだ。


 その頃、私達は貧乏だったので二段ベッドに寝ていた。上段に姉が寝て、下段に私と弟。今考えると異常だ。


 私はその頃からナルコレプシーになっていて、意識を失って寝る事が多かった。


 ある夜、ふと違和感を覚え夜中に目が冷めた。



 弟が私の手を使い、自慰をしていたのだ。


 怖かった。起きたら何かされるのではないかと思い、寝たふりをしたらまたナルコレプシーでそのまま寝てしまった。


 このままだと、不味いことになる。親に言いたかったが、私はまだ子供で全ての事に怯えていた。


 なるべくズボンを履いたり拙い自衛をしていたが、ナルコレプシーで深い眠りの次の日。朝起きたら、生理でもないのに下着に血がついていた。


 私は凍りついた。洗濯機に入れる前に下着を水洗いしながら、恐怖で涙が出た。


 その日以降、弟は小さい部屋で寝るようになった。私は安堵したのを覚えている。



 しかし、生理がこない。母に不順体質なのかと言われていたが、私はもう何も考えられなくなっていた。




 服の胸元が濡れていた。あれ?と思い胸を触ってみるとその染みが広がるようにより濡れていく。

 恐る恐る乳房を押すと、乳白色の液体が乳首から溢れてきていた。母乳だ。




 妊娠した。

 目の前が暗くなる気がした。誰とも付き合っていないし、性交渉をした事もない。



 間違いなく、弟に犯されたのだ。



 死を意識した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る