或る少女の話

七海美桜

取り巻く環境

第1話 不幸な生まれ

 小さな頃から記憶にあるのは、常に母が働いていて家には居なかった事。


 母は小さい頃に父を亡くし(私にとっては祖父)、割と貧しい母子家庭だった。祖母も母も必死に働き、父と出会う。父の実母クソババアは母との結婚に反対したので、父が家を出て貧しい母の家に婿養子状態の形で転がり込んできたと聞く。

 母と祖母と、父の3人で暮らし始めたらしい。


 その辺は、聞いたけどあまり覚えていない。

 母は、姉と私と弟を産んだ。弟が生まれた事を死ぬ少し前の祖母が喜んだと聞いたが、どうでもいい。


 父は、重度のギャンブル依存症だ。幼い姉の手を引き私を背負い、母はよくパチンコ屋を巡って父を探していたらしい。借金の総額も、家二軒建てられたらしい。屑だ。


 母は明け方新聞配達をして、それからスーパーのレジ。それから近所の酒屋で働いていた。


 姉とは少し年が空いているが、弟は私にとって年子だった。オムツ替えから面倒を私がみていたと聞いていた。今にして思えば、あの汚物のような存在を構っていた自分が恨めしい。


 遊びに連れて行ってくれるのは、母だ。父との思い出はほぼ無い。旅行なんて、大人になるまで行ったことない。


 悲惨な環境。


 でも私は社交的で、家で埋められない愛情を外で埋めた。友達は多く、毎日外で遊んだ。


 私は自分が可愛そうだと、思わないようにしていた。

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