第8話 牛すじ煮込みと一番搾り糖質0

生まれ育ちが西日本なので、関東に初めて住んだときは食べ物の違いに面食らった。

関東ではうどんではなく蕎麦、つゆの色も味も全然違うところまでは知っていたが、細かいところで散々ボディブローを食らった。


おにぎりせんべいが売ってない!

カールのうすあじがない!


そんなことは全く予測していなかった。

旅行で静岡に行った際に、お店でおにぎりせんべいの存在を確認し、迷わず買い込んだのも懐かしい思い出だ。


牛すじもその一つ。

西日本出身の友人とおでんパーティをしようという話がまとまり、一緒に買い出しに出かけた。

私も友人もおでんには牛すじが入るものと思っていたが、なぜかスーパーに見当たらない。

さすがに専門店に行けばあるだろうと思って地元の肉屋に行ったところ、

「すじ? そんなもの食べるのですか?」

と言われて心底驚いた。


それでもぼちぼち関東のお店にもすじ肉が並ぶようになった20年ほど前、海外旅行でたまたま出会った関東の方と、食べ物屋の話になった。

そこで

「○○○はすじ肉使ってるんだぜ。そんなもん食べたくないよ」

とすじ肉蔑視のような発言を受けてしまい、

「いや、自分好きなんです」

とはとても言えなかった。

その方と同行していた大阪の方も、困った顔をしていた。


自分は今でもすじ肉が好きだ。

おでんには必ず入れるし、カレーも基本は牛すじカレー。

居酒屋でもメニューで見かけたら、八割方注文してた。


妻も私の牛すじ好きは理解している。

そのためちょくちょく料理して出してくれるのだが、一度あまりにひどいと苦情を述べたことがある。

それは、圧力鍋で煮込んだ牛すじを出してきたとき。


私はやわらかい牛すじも好きだが、固めの肉の歯ごたえもわりと好きだ。

だけど妻がその時出してきたのはよく煮込まれていて、ほろほろと崩れるほどだった。

それで、こんなくず肉食べたくない! と怒ってしまったのだ。


当然の帰結として、今日は自分で調理しろと命ぜられた。

味付けを自分好みに出来るので、それはそれで悪くない。

ただあまり手をかける時間もなかったので、シンプルにヤマキの割烹白だしで大根と煮込んで終わらせた。

以前もこれだけで美味しくできあがったのだ。

今日も上々の出来だった。


美味しい煮汁が出来たときは、とことんまで味わうことにしている。

夕食後、残ったスジと出汁にこんにゃくを足した。

明日はまた美味しくいただけるだろう。


実は練り物も準備している。

明日こんにゃくを食べたら、それらを投入予定。

最後はおでん風のそれらを、うどんにぶっかけて締める予定。


今日お供に選んだ一番搾り糖質0は、スジと一緒に白ごはんも食べるためチョイスした。

炭水化物を食べるときは、ビール系は糖質の少ないものを選ぶようにしている。

そのため何かしら糖質少ない系のビール系飲料が冷蔵庫に常備されている。


まあ毎晩酒飲んでいる時点で、なんちゃってな健康への気遣いだけど。

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