カタカタカタカタ 〜弓槻さんとパソコン〜



〈カタカタカタカタ〉



弓槻「うーん……」



ゆき「弓槻さん? 何されてるんですか?」



弓槻「仕事なんだけど、なかなか厄介でな……」



ゆき「なんのお仕事されてるんですか?」



弓槻「べー。言わねぇつったろ」



ゆき「む。教えてくれてもいいじゃないですか」



弓槻「恥ずかしいんだよ」



ゆき「そんな恥ずかしいようなお仕事されてるんですか? 画面を見せてくださるだけでいいんですよ」



弓槻「じゃあ、彼祭さんは自分のパソコンを他人に見せれるのか?」



ゆき「それは……。絶対に、何があっても、雨に打たれて風に吹かれて雪に見舞われても、見せないと命を奪うぞって脅されても無理ですけど」



弓槻「どんだけ見せてくないんだよ……。あたしはそこまでじゃないけど」



ゆき「そうですか……。ねぇ、侑希さん」



侑希「何?」



ゆき「侑希さんは弓槻さんが何されてるのか知ってるんですか?」



侑希「知らないよ」



ゆき「教えてもらってもいいですか?」



侑希「いや、知らないって言ったよね」



ゆき「あ、夢葵ちゃんなら知ってますか?」



侑希「あー、夢葵なら知ってるんじゃない?」



弓槻「たぶん夢葵に聞いても言わねぇぞ。あいつあれで口堅いからな」



ゆき「残念です……。侑希さんは気にならないんですか? お姉さんが何をしてるのか」



侑希「全然」



弓槻「しょうがねぇな。ひとつだけヒントをやるよ」



ゆき「なんですか!?」



弓槻「ヒントはパソコンを使う仕事です」



ゆき「お、これは結構絞れたんじゃないですか。たいぶ答えに近づいた気がします」



侑希「いや、なんのヒントにもなってなくて草」


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