暖 〜ゆきちゃんとちょっとずつ〜
「最近ようやく、ちょっとは暖かくなってきましたね」
「え? そう? まだまだ全然寒いけど」
「三月の頭ですよ。もう春じゃないですか」
「ぎりぎりというか、全然冬だよ。ほら、今だって暖房ついてるし」
「陽が入ってくる部屋だと日中は暖房いらないくらいにはなってきたと思うんですけど……」
「あ。わかった。ゆきちゃん雪国育ちだからでしょ。だから、常人の寒いがあんまり寒くないように感じるんじゃない?」
「常人のって、普通の人じゃないみたいな言い方やめてください。関東が基準じゃないですよ!」
「まぁ、それは言葉の綾子というか……」
「綾子さんって誰ですか? でも、確かに、寒さへの慣れはちょっとはあるかもしれないですね」
「絶対そうだと思うけどな。僕ん家みたいな雪のない場所とゆきちゃん家だと全然違うんじゃない?」
「そんなに関係あるとは思えないんですけど……。例えば、北海道の人にとっても沖縄の人にとってもは10℃は10℃じゃないですか」
「それはそうかもだけど……。まぁ、ゆきちゃんは他人より早く春を感じやすいってことだね。個人差ってことにしよう」
「私的には一番早く春を感じてる人は服屋さんだと思いますよ。一月の後半にダウンを買いに行こうとしたら、もう春物が売ってました」
「それはちょっと違うんじゃないかな……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます