侑希さんと帰省編 その十四



弓槻「彼祭さん、雪斗。できたぞ。腹いっぱい食えよ」



ゆき「わあ! お鍋ですか。おいしそうです。ね、雪斗」



雪斗「……うん。いただきます」



侑希「じゃあ、僕はせっかくだし一杯やっちゃおうかな。ビールあったよね」



ゆき「あ! いいですね。私ももらおうかな」



侑希「いや、ゆきちゃんはやめておいた方が……」



ゆき「あれ? 弓槻さんは飲まないんですか? お酒」



弓槻「ああ。あたしは飲めないからな」



ゆき「へ?」



弓槻「お酒飲めないんだよ」



ゆき「弓槻さんが、ですか……?」



弓槻「ああ」



ゆき「意外ですね……」



弓槻「よく言われるよ。そういう彼祭さんはよく飲むのか?」



ゆき「私は人並みにはお酒は好きなんですけど、お母さんからあんまり人前で飲むなって言われてるんですよね」



弓槻「そういやさっきも侑希がそんなこと言ってたな。なんかあるのか?」



侑希「ゆきちゃんお酒飲むと人が変わるんだよね」



弓槻「へー。そうなのか」



ゆき「私はそんなつもりないんですけど……」



弓槻「大暴れする、とか?」



侑希「逆」



弓槻「逆ってなんだよ」



侑希「なんというか、その……」



雪斗「色っぽくなるんですよ。ねぇちゃん」



弓槻「ふーん。見てみたいけどな。そんな状態の彼祭さん」



侑希「いやー、びっくりするくらい別人だからな」



雪斗「ほんとに……」



侑希「どうする? ゆきちゃんビール飲む?」



ゆき「私は飲みたいですけど……」



侑希「じゃあ、いいか。ほら、どうぞ」



ゆき「ありがとうございます」



弓槻「おい雪斗。そろそろこの肉いけそうだぞ」



雪斗「いいんですか?」



弓槻「おう、食え食え。彼祭さんは?」



ゆき「……私ももらおうかしら」



弓槻「え?」


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