侑希さんと帰省編 その一



ゆき「侑希さんのご実家も田舎の方なんですね」



侑希「そうだね。あ、あれだよ」



ゆき「一階建てのお家ですか。ちょっと新鮮ですね」



侑希「ごめんね。反応に困らせて。ゆきちゃん家と比べると小さくてボロいけど……」



ゆき「いえいえ、かわいらしいお家です」



侑希「はは。ありがとう」



〈ガラガラガラ〉



侑希「ただいまー! 帰ってきたよー! 父さーん。母さーん。…………あれ?」



ゆき「返事、ないですね」



侑希「おーい。誰かー?」



? 「うるせぇな。誰だよ。でけぇ声出しやがって」



侑希「あ」



? 「あ? 侑希か」



侑希「姉さん。ただいま」



? 「なんで侑希がいんだよ」



侑希「え? 連絡したでしょ。今日行くよって」



? 「……。あー。忘れてた」



侑希「えぇ……。父さんと母さんは?」



? 「旅行」



侑希「は?」



? 「旅行」



侑希「聞こえなかったわけじゃないよ。僕が帰るって事前に姉さんに伝えてたのに、なんで旅行してるのってことだよ」



? 「だから、忘れてたつっただろ」



侑希「あー。はいはい」



? 「ん? 待て。女の子じゃんか」



侑希「ああ。紹介するよ。僕の……、彼女って言えばいいのかな? の、ゆきちゃん」



ゆき「はじめまして。彼祭かのまつりゆきです」



? 「へぇー。はじめまして。姉の弓槻ゆづきだ。よろしく、彼祭さん」



ゆき「あ、よろしくお願いします!」



弓槻「ほら、侑希。いつまでも玄関で突っ立ってないで、早く上がれよ。お客さんだろ」



侑希「わかってるよ。姉さんの所為せいみたいなもんでしょ……」



弓槻「あ?」



侑希「なんでもないです。さ、ゆきちゃん。遠慮なく上がって」



ゆき「お、お邪魔します……」



弓槻「奥の部屋使えよ」



侑希「はーい」



弓槻「あ、そうだ。侑希」



侑希「何?」



弓槻「あたしは前回の帰省編みたいなほっこり回はできねぇからな」



侑希「なんで姉さんがそんなこと気にしてんの?」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る