ゆきちゃんと帰省編 その十一
侑希「ねぇ、ゆきちゃん?」
ゆき「なんですか?」
侑希「ゆきちゃんって自分の中にもう一人誰かいないよね?」
ゆき「へ? どういうことですか?」
侑希「ほら、君お酒飲むと人が変わったみたいになるじゃない。それのことを言ってるんだけど」
ゆき「あー。たまに友だちにも言われますね。でも、ちゃんと自分がしゃべってる感覚はありますし、一応記憶も残ってますよ。どうしてそんなこと訊くんですか?」
侑希「いや……、別に大したことはないんだけど。あはは。ならよかったよ」
ゆき「? なんのお話ですか?」
侑希「いやいや、こっちの話。っていうか自分がお酒飲むとどうなるか知らない?」
ゆき「私はいつもと同じつもりですけど……」
侑希「わーお。重症だ。お、いいところに。ねぇねぇ、雪斗君」
雪斗「……はい?」
侑希「ゆきちゃんが酔っ払ったところみたことある?」
雪斗「ありますけど……」
侑希「どんな感じかゆきちゃんに教えてあげて。僕が言っても信じてくれないんだよね」
雪斗「はぁ。えっと、ねぇちゃんが酒飲むと色っぽい美人なお姉さんみたいになります」
ゆき「え!?」
侑希「ほら、雪斗君も言ってるよ。一回動画でも撮った方がいいね」
雪斗「……俺もういいですか?」
侑希「うん。ありがとうね」
ゆき「……っ」
侑希「え? どうしたの? そんなに頬赤くして」
ゆき「雪斗に……」
侑希「ん?」
ゆき「色っぽい美人なお姉さんって言われました……。えへ、えへへ、えへへへ」
侑希「えぇ……」
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