髪型 〜ゆきちゃんと切って欲しい〜



「そういえば、侑希さんってずっと髪型一緒ですね」



「まぁ、別に変えるの面倒臭いし、あんまり興味ないから」



「ダメです!」



「ダメ……? 何が?」



「もう、侑希さんってそういうところだらしないですよね。一応彼女がいるんですから、容姿くらいには気を使ってください」



「彼女がいるなら、これ以上気にする必要はないと思うけど……」



「なんてこと言うんですか! 私だって侑希さんと会える時は、今日はどんな服装かなってちょっと期待してるんですよ。なのにいつも同じ服装じゃないですか」



「まぁ、それはごめん。服とかってよくわからなくて。あんまりお金も使いたくないし」



「それは個人の自由ですけど。それに髪型も。いつも起きたまま特に何もしてないですよね?」



「はい……」



「彼女に自分のかっこいい姿を見てもらいたいと思わないんですか?」



「思うけど、ちょっと僕が整髪剤とか使ったくらいで変わるかな」



「その気持ちが嬉しいんじゃないですか。ヘアワックスを使おうとして失敗してる姿もかわいくてポイント高いですよ」



「……そう? じゃあ、次からはちょっと冒険してみようかな」



「ぜひしてください。次に美容院に行く時はいつもと同じオーダーにしちゃダメですよ。アイドルとか俳優さんの写真でも見せてください。って、いつもなんて言って切ってもらってるんですか?」



「えーっと、伸びてきたので切ってくださいって」



「うそ……。ほんとにそれだけですか?」



「うん。いつも行ってるところだし」



「これは勉強が必要ですね」



「そんなにこだわらないとダメかな?」



「侑希さんのちょっと違った姿を見たいんです! それくらいわかってください!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る