お部屋にて 〜ゆきちゃんとお泊まり〜



「おじゃまするね。会社終わりにすぐ向かうつもりだったんだけど、上司の愚痴に付き合わされてちょっと飲んできちゃった」



「いえいえ、お疲れ様です」



「ねぇ、ゆきちゃん。もし手が空いてたらお風呂をためてくれると嬉しいだけど」



「はーい。わかりました」



〈ピッ、ジュウナナドデオフロニオユヲイレマス。オフロノセンヲタシカメテクダサイ〉



「ありがとう」



「いえいえ」



「遅くなってごめんね。ゆきちゃんは今日何してたの——って、17℃!?」



「? いきなりどうしたんですか?」



「え? 今17℃って言った?」



「何がですか?」



「お湯」



「お湯の温度のことですか?」



「そう、お湯。ってか、水」



「はい。17℃に設定しておきましたよ」



「え? なんで?」



「だってお酒飲んだ後はおひやがいいって言うじゃないですか」



「?」



「お母さんがお酒飲んだら絶対にお冷を忘れちゃダメよって私に教えてくれたんです」



「お冷? それ、飲む水のことだと思うけど……」



「え? でもほら銭湯にもいるじゃないですか。顔真っ赤にして水風呂にじゃっぱーんって飛び込んで、きもちーって言ってる人」



「それサウナね。お酒飲んでる人じゃないから。もしかしたら酔っ払いもいるかもしれないけど」



「私いつもそうしてました」



「何してんの」


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