外見も性格も対照的な幼なじみ同士のふたりが、電車に乗って小さな旅をするお話。
異世界ファンタジーもののボーイズラブ掌編です。
コンパクトな小品ながらも、あるいはだからこそ印象的というか、全体に通底する雰囲気が素敵な作品。
電車や徒歩であちこちを巡る中、ゆったりと思い出を振り返るようなお話の筋の、その優しくもどこかうら寂しい雰囲気が胸に染みるかのようでした。
こういうのもノスタルジーというのか、何か楽しかった過去をなぞるときの、あの独特の胸がキュッとなる感じ。
幼なじみのサーリヤさんが好きです。もっというなら、彼の黒髪にまつわる描写が大好き。
地面につくほどの長さの黒髪を、マフラーよろしく首に巻きつけるところとその理由。ごく短くシンプルな設定とその描写に、でも不思議なこだわりというか、なんだか色香のようなものを感じるところ。
短いながらも深い印象を与えてくれる作品でした。