第6話  彼氏に伝えたいこと

「バイトのシフト減らして欲しいんだけど」龍の部屋で言った。土曜日だけの約束だったのに今は週3に増えている。

「無理だよ。だってチェル目当てにたくさんの人が来てる。」

「そうだけど、私,今年国家試験を受けないといけないから。もっと勉強が必要だと思っている。今の勉強量じゃ全然無理。もしシフト減らしてくれないなら別れるから。」

「チェルよく話を聞いてくれる。今俺はあの店の店長を任せれてる。チェルが来てから売り上げがすごくいい。だからシフトを減らさないで欲しいんだ。俺の立場も考えてくれ。」

「私は看護師になりたいの。だから今まで頑張って勉強をしてきたの。龍のために自分の夢を捨てたくないの。」

「チェルは俺の奥さんになればいい。そしたら看護師になんかならなくてもお金はいくらでもある。自由の生活が待ってる。」

「私は一人で自立して生きていきたいの。誰かに頼って生きていくのはいやなの。」

龍は机の引き出しからナイフを取り出して、光に当てた。

「落ち着かない時はナイフを見ると落ち着くんだ。君を刺したりはしないから大丈夫だよ。お父ちゃんはよく人を刺したりしてるみたいだけど。」冗談でも言わないで欲しい。

「チェル、やめたいのは分かったけどすぐには辞められない。チェル目当てに来た人がチェルと話しが出来ない時間があるだろ。そのために他のキャストを雇ってるんだ。チェル目当ての客の飲む酒も注文している。もしやめるんだったらその分を払って辞めなくちゃダメだ。この業界では当たり前のこと。わかった?」

「どうしたら辞められるの?」

「あと1ヶ月働いてくれ。そしたら円満に辞めあせてあげる。シフトも組み替えられる。酒の注文も減らせる。」

「分かった。その代わり今日からちょうど1ヶ月だからね。」

「私は,1ヶ月後には、もう行かない。どんなことがあっても店には行かない。」

「チェルが強情なのはよく分かってる。」龍が肩に手をかけて強引に寄せられた。あと1ヶ月で終わる。と信じるしかないと思った。

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