すばらしいとは限らない
すばらしい人物のすばらしい言葉がすばらしい結果を生むとは限らない。
という説をごく最近目にしたので、覚書程度に書いていこうと思います。
その人物、A氏は、通信業界の巨人とも言うべき現代日本経済史に名を残す経営者なのですが(ここまで言えば分かる人には分かるでしょうが)、数々の名言を残したことでも有名です。
その経営哲学は多くの企業家に影響を与えており、今の日本経済の一部を形作っているといっても過言ではありません。
ただし、一部の経済人からは拒絶反応とも言えるほどに毛嫌いされている側面もあるそうです。
予め断っておきますが、A氏に人格的な問題があったとか、なにか悪事を働いたとか、そういう類の話ではありません。
問題は、A氏が残した言葉や経営哲学を学んだ受け手、現代の経営者にこそ原因がある、というケースの存在です。
当たり前の話ですが、どんなに含蓄のある格言があろうと、それを地で行く生き方ができる人なんて、そうはいません。
石橋を叩いて渡る人生を、生まれてから死ぬまで実行できるわけがないんです。
これが、難しい経営判断や企業理念となればなおさらの話で、経営者に限らず、多くのサラリーマンは人生の中で出会った「すばらしい言葉」の影響を受けて、社会人としてのアイデンティティを確立しているはずです。
そして、個々におけるすばらしい言葉の解釈こそが、A氏の評価の分かれ道になっているようです。
言葉というものは独り歩きするもの。
石橋を叩いて渡るという言葉は通常、行動は慎重であるべきという意味で使われることが多いですが、見方を変えれば迅速に行動できずに時間がかかりすぎる、という印象を持っている人も確実にいることでしょう。
人は見たいものしか見ようとしませんし、苦手なものは排除する傾向にあります。
この本能レベルの悪癖を、常識を学ぶことで多少なりとも強制しようというのが現代社会の根本の一つなわけですが、やはり限界はあります。
A氏の言葉や理念も、経営者にとって都合の良い解釈をすれば、元は社員の道を指し示す標であっても、崖へと誘う片道切符になりかねない危険性をはらんでいるということです。
この辺りの是非を判断するには、画面上のプロフィールだけではなく、実際の社員や仕事の内容、経営者の為人を確かめることしか、方法はないと思います。
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