第25話 私はそんなえっちなパンツは履きません!


 シスターさんたちに、一枚ずつパンツを履かせていく僕。

 しかも修道院でこんなことをしているというのだから……背徳感がすごい。

 シスターさんたちはみな、純潔らしい。

 ということは、彼女たちのパンツを初めて脱がせたのは、僕ということになってしまう。


「はぁ…………これは心臓が持たないよ」


 何人か履かせ終えたあとに、端っこで震えているシスターさんを見つけた。

 そういえば……あんな子、さっきいたっけ……?


「あの…………そんなところで何を? パンツ、履かせましょうか?」


「わ、私はそんなえっちなパンツははきません!」


「え…………?」


 僕の聞き間違いでなければ、このシスターさんはパンツを履きたくないと言った。

 どういうことだろうか……。

 今まで、僕のパンツを拒否する人なんて現れなかったのに……。


 街行く誰もが僕のパンツを求め、履いている。

 そんな中で、初めての拒絶だ。


「そ、そんな……! どうしてですか……!」


「あ、あなたがえっちだからです…………!」


「んなぁ…………!?」


 ぼ、僕がえっちだって……!?

 そ、そんなはずは……。

 だって、これだけたくさんパンツを履かせてきたのに、僕は理性を保って仕事をしている。

 けしてやましい気持ちなんてない。

 それなのに、酷い言いようだ。


「あなた、名まえは……!?」


 そんな記念すべき、貴重な女性の名前。

 聞かない訳にはいかないだろ!?

 僕はシスターさんに名前をたずねた。


「も、モニカ・ブレンゼルです…………」


 モニカ・ブレンゼルさん。

 黒髪ぱっつん前髪の、かわいらしい清楚なシスターさんだ。

 きっとえっちなことがとても嫌いなんだろうね……。

 潔癖シスターさんだ。

 さっきから僕のことを、汚物をみるような目でみている。

 しかし、そんなモニカさん自身が、いちばんえっちだから困ったものだ。

 彼女のおっぱいは、修道着におさまりきらないほどに大きい。

 しかも薄い生地の服だから、それがよけいに強調されてしまっている。


「モニカさん!」


 僕はモニカさんの手を握る。


「さ、触らないでください! 汚らわしい!」


「僕は、絶対にあなたにパンツを履かせます……!」


「ぜ、絶対にお断りです……!」


 モニカさんは、言葉ではそう言っているけど……。

 これは絶対、本心では履きたがっている。

 だって、明らかに彼女は興奮をしていた。

 長年パンツを履かせ続けている僕には、わかるのだ。

 女性が性的興奮をしていると、手に取るようにそれがわかる。

 パンツ職人の勘、というやつかな……。

 何百枚もパンツを履かせ続けた末に、身に着けた能力だ。


「でも、パンツを履いたほうがいいんですよ!?」


「なにがいいんですかそんなの! 私はけっこうです! 私が身体をゆるすのは、神様だけです!」


 なるほど、彼女の信仰心はあついようだ。

 それならば、そこを突き崩すまでだ。

 ここまでパンツを拒まれては、僕としては履かせるまで引き下がれない。

 だって、これはパンツ職人としての意地なのだ。

 世界中の人にこのパンツを届けたいんだ……!


「でも、パンツを履くと、お祈りの効果も増しますよ……?」


「お祈りのこうか……!?」


「そうです! 僕のパンツにはあらゆる効能がありますからね! きっと神様への祈りも、とどきやすくなるでしょうね!」


「っく…………! その手にはのりませんよ……!」


 どうやら言葉ではダメなようだ……。

 ここは、実際にわからせるしかないな。


「ではモニカさん。この好感度メーターをつかってもいいですか……?」


「なんです? それ……」


「もしもあなたが本当にパンツを拒んでいるのであれば、この好感度メーターはマイナスの値をさすでしょう。しかし、この好感度メーターが100を超えていれば……あなたはパンツを履きたがっているとみなし、おとなしく履いてもらいますよ!」


「いいでしょう……私の信仰心に、揺らぎはありません! 神に誓って受けて立ちます!」


 僕は、モニカさんに好感度メーターを向けた――。

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