第4話 パンツを鑑定いたします。
「ではルインくん【聖母の
僕はロゼッタさんとともに、S級ギルドへやって来た。
まさか、こんなすごい場所に僕が足を踏み入れることになるなんて!
「そして彼女がうちの鑑定師、ココちゃんです!」
ロゼッタさんが紹介してくれたのは、鑑定師と呼ぶには少々小さな女の子。
背も胸も平均より小さく、とても働いている歳には見えない。
「ココ・べッタです。よろしく」
「ど、どうも……ルインです」
ココさんは白色の髪をツインテールに束ねていて、博士みたいな眼鏡をかけている。
そしてとてもクールな感じだ。
「ココはルインくんと同い年なんですよ?」
「えぇ!?」
思わず僕は驚いてしまったんだけど、失礼だったかな。
でも、ココさんは気にしていないようす。
それどころか、僕の顔をじーっと見つめている。
「あ、あの…………?」
「あなたが……パンツの人……」
「へ……?」
「ロゼッタさんが、話してた」
「そ、そうなんだ……」
でも、パンツの人呼ばわりはやめてほしい。
まあ、間違いではないんだけど。
「じゃあココ。さっそくルインくんのスキルを鑑定で見てもらえるかな?」
「わかりました。ロゼッタさん」
「ルインくん? ココの鑑定はすごいんですよ。スキルの細かいルールや説明まで確認できてしまうんですから! あ、これは他の人には秘密ですよ?」
「そ、そうなんですね! すごいです。もちろん、秘密はまもります!」
「じゃ、いくよ? 《鑑定》――!」
「う、うわあ!」
ココさんは僕のおでこに自分のおでこをくっつけて、鑑定を使った。
どうやらそれが必須の行動みたいだね。
でも少し恥ずかしい……。
「ん……。できた……」
「え!? もう!?」
ココさんは僕たちにもわかりやすいように、鑑定の情報を紙に書き写してくれた。
魔法でインクを操って、一瞬のうちに鑑定シートができあがる。
「どうやら、ルインくんのパンツを履いたときの効果は、ルインくんに対する好感度で変わるようですね……」
鑑定紙を持ったロゼッタさんが、そうつぶやく。
でも……それって……。
「妹が僕に対して好感を持ってるのは、まあわかるんですが……。ロゼッタさんも僕に、その……好感を持ってくれてたってことですか?」
「え!? ま、まあその…………はい……」
僕が訊ねると、ロゼッタさんは顔を真っ赤にして照れた。
こんな美人な年上の人から好感を持たれるなんて初めてだ。
僕も少し赤くなってしまう。
「私……言いましたよね? ルインくんの仕事ぶりを見ていたって」
「はい……」
「まだこんなに小さいのに、頑張っててえらいなって……。それに、ルインくんは自分じゃ気づいてないかもですけど、とってもかわいい男の子ですよ」
「あ、ありがとうございます……」
こういうとき、僕はどうしたらいいかわからない。
でも……ってことはつまり、ユミナさんも僕を好く思ってくれてたってことか!?
ど、どうしたらいいんだ本当に……。
「まあ、元のギルドの人たちが効果を実感できなかったのは……そういうことでしょうね」
「あはは……僕はまあ、嫌われてましたから……」
「いえ、そういうつもりで言ったんじゃ……! いいんですよルインくんはそのままで。ずっとうちで働いてくださいね? もうあんなギルドの人たちは忘れましょう」
「はい……! ありがとうございます、ロゼッタさん」
ああ、僕はなんて恵まれているんだ……。
ロゼッタさんに出会えて本当によかった。
僕もロゼッタさんのために、頑張るぞ!
「では、ルインくん。あらためて……! 我がギルドへようこそ! みんなルインくんを歓迎しますよ!」
「ようこそ……ルイン」
「ココさんまで……! ありがとうございます! 僕、精一杯頑張ります!」
ココさん、クールな人だから仲良くなれるか心配だったけど……。
どうやらさっそく僕のことを受け入れてくれたみたいだ!
「では、私は少しやることがあるので、しばらくのあいだココと二人でお話でもしててください」
「あ、はい……!」
そうして、ロゼッタさんは僕とココさんを個室に残して行ってしまった。
狭い密室に、僕とココさんのふたりきり……。
これは、意識せずにはいられないのが男の子だ。
「ふぅ……あの、ココさん」
僕がなにか話をしようとしたときだった。
突然、ココさんの顔が目の前に――!
「ルイン……?」
「ひゃ、ひゃい……!」
僕は緊張して、声が変になる。
だって、ココさんの小さくてきれいなお顔が、すぐそこに!
ああ……顔がいい……。
「ルイン……キス、させて?」
「……え?」
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