最終章( 仮 )

孵化型人間の開発や計画に携わり、哺乳類型人間を管理下においた哺乳類型人間の一部達。


その一部達の中心にいながらも、心を傷めるハカセと呼ばれていた男がいた。ハカセは自分の能力が思わぬ計画に使われていることに気づき、日々悩まされた。


そして、ハカセは周囲にわからぬよう計画を立てた。

哺乳類型人間を救う事を企て、密かに遂行した。


〜省略〜


ディーの体内には、ハカセが開発したあるモノが入っていた。ディーはハカセが偶然見かけた少年であった。ディーの中にハカセは通ずる何かを感じた。


謎の女はハカセの子孫にあたる救世主。ディーの体内にあるモノは、ハカセから託されたメッセージのようなものである。


ハカセも哺乳類型人間のひとり。管理下におかれる他の哺乳類型人間への罪悪感から、ハカセは自身の遺伝子から抽出した細胞を培養し、化学変化させた物質をいくつか保管して隠し持っていた。


ハカセは哺乳類型人間の管理下を遂行する金の亡者と化した初老の男に背き、消される前に地球を出た。


この頃の地球は他惑星との往来を、許可なく勝手にしてはならないという決まりがあり、厳しく管理されているのだった。


長い月日、様々な実験や試験的に行ってきた人間のツケは、他惑星に悪影響をもたらし、地球自体の環境も悪くなってしまったからだ…





?光年離れた地球に似た惑星、アクアに着いた。アクアにはハカセの仲間がいた…人間だ。哺乳類型人間と部類される以前に地球を脱出したごく普通の人々、少数だが惑星アクアで暮らしていた。


そのアクアで、ハカセの細胞から生み出されたのが、謎の冷たい女、カサンドーラ。

カサンドーラの中にはハカセの記憶や強い想いがインプットされていた。

ハカセの意思を注ぎ、アクアから地球へと移動した。



地球を牛耳る初老の男の悪しき企てをゼロにすべく、初老男の若い頃に会う。



カサンドーラとハカセの姿が重なる。ディーに語りかける。


人間とは……最終的に心の豊かさ、温もり、優しさ、思いやり、それが幸せに生きる鍵となる。そして、それらが欠けた時、人間の墜落が始まる。


科学の進化は素晴らしい。だが、そこに欲をかくと結果失敗する。人間を幸せにするツールにはならないからだ。

言葉が攻撃する武器にも、身を護る鎧にもなる表裏一体のモノであるのと同じように、テクノロジーや実験が発展にも衰退にも繋がる危うい存在であるという悲しき現実。


多くの人間はそれらに気づかずに通り過ぎてゆく。空気のように当たり前になる。


時おり立ち止まり、冷静に時代を視る、見つめる事。かつての人類には足らなかった。


皆、欲をかき過ぎた。それが答えなのだろう。














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cage ~ ケージ @NANKICHIis

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