9

女「貴方がいくら金を積み上げても無意味。金でいう事をきく人間は、新たな世界では存在意義がありません。」


初老の男が怒り狂い女に向かおうとするが、凍ったようにフリーズする。


女は続けた。

「貴方のような愚者ジコチュウは、新たな世界では邪魔アシカセになる為、うまいこと排除されゆくのです。知っていますか?貴方のような見栄や威張るという無駄なプライドを持つ者が周りを不幸にしていることを。己の劣等感や醜い心を金で埋め、見えない仮面を付けないと生きていけないのです。金がないと自分を保てず、周りも寄ってこない、下の者にも威張れない…なんと悲しき事。我々には到底理解できません。」



女「…そもそも、貴方が散らばせたこのお金は、近年ほとんど出回っていません。過去の産物でしかありません。価値がないと言う事です。」


フリーズした男は、血走った目で女を見る事しかできなかった。

女がさげすんだ目で、フリーズした男を見ながら話しを続けた。


女「そもそも人間社会に通貨制度が生まれ定着したのは、哺乳類型人間の過度な情と欲があるからです。」


女は足元にある札一枚を拾い上げ、それを見つめた。


女「哺乳類型人間の欲からなる付加価値なるモノが貨幣、金という魔物を造った。古き遠い時代から物と物の交換という形から始まり、一部の欲にまみれた哺乳類型人間らにより、この星は朽ち果てる一歩を辿っていく羽目になったのです…。過ちに気づいた時は幾度となくあったはず。それらに気づかないフリをした哺乳類型人間らの罪は重い…。」







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る