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男の見た信じ難い光景は、人間の終わりの始まりに過ぎなかった。



2XXXの今、人間ひとという生物は、希少価値の高い哺乳類動物である。性交から産まれた純血統の人間は、その希少価値の高さから特別区域、

通称【cage ケージ】にてある監視下のもと保護されている。


社会の大きな変化から、医療は進歩し、ありとあらゆる様々な分野で研究や開発がどんどん進んでいった。


そして新たな人類が誕生した。


人工孵化じんこうふかにより、【コクーン(子宮の役割)】からかえる人型の孵化人間。今や孵化人間がこの惑星の多くの住人である。

孵化人間の大量生産が短期間に出来るようになった事により、大量化が一気に進んだ。


人間はそれまで、自然の摂理とされてきた性交から産まれてきた。そして人類は途切れる事がなく、その存続をはかってきた。

太古の昔、人は恥じらいを覚え、衣服で身を隠し、雨風をしのげる安心と安全を得れる住居、居場所を造った。

生きていく為に、大地を耕し食物を作り、野生の動物を狩る知恵を身につけ、人間の命をつなぐ血となり肉となる事を知った。

そして同じ事を繰り返し、繰り返し重ねてきた時間は、様々な歴史を生み文明を作った。


それまで、それらが当たり前であった人間の形。自然の一部、その大半に歪みが生まれていく事になろうとは…。





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