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哺乳類である人間たちは、自らの手で少しずつむしばまれ、身を滅ぼしゆく行いに、尽力と大きな時間を投じた。その多くが間違いであったという現実を、先人達は知らないままに歴史を築いてきた。


人間ひとの終わりは、とうの昔から始まっていたという真実の一幕に気づかぬまま、年月とき早々そうそうと流れた。

惑星に人間が誕生した日から、どれだけの時を刻んできたか…。



哺乳類型人間は、喜怒哀楽をもち好奇心が旺盛だ。それゆえに監視下にあるケージの区域外に出ようとする性質を持っていた。そういった哺乳類人間があとを絶えず、孵化人間の監視員が各々おのおのに配置されていた。

ケージ内に住む哺乳類人間の注意事項を含んだ様々な取り扱い説明のデータが、監視用の孵化人間全てにインプットされていた。


〔インプットされた取扱説明書の文字が空間に配列される画〕


2000年代中期頃から、哺乳類型人間一人一人についての、事細かな説明が記載された取扱説明書なる超小型データが、厳しい設備で守られた保管施設【エッグ】内にて管理されてきた。



3000年代を支配している孵化人間たち。哺乳類人間ほどの豊かな感情や好奇心を持ち合わせず、喜怒哀楽の表情もほとんどない。


孵化ふか型人間がたにんげんはコクーン内部で分裂し、生まれた時に複数体いる。孵化人間はある”目的”で、哺乳類人間の一部が計画して造り上げてきた、一種の道具のような存在である。







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