第33話 ティラミスですわ



 旬の栗を使ったスイーツは美味しいけど食べ過ぎて口直しするにはティラミスを選びますわ。

 ココアパウダーを全身に浴びた褐色の体はさしずめ黒毛のウマのように美しく均衡の取れた芸術ですわ。

 芸術を崩すのは心苦しいですが食べなければ魅力の全てが分からないのでさっそくフォークを一刺しして口に運びますわ。

 口の中に苦味と甘みが一体となって駆け抜けましたわ。

 クッキー生地にたっぷりと沁み込ませたコーヒーとココアの苦味とホイップ&カスタードのダブルクリームの甘みが見事に融合してますわ。

 おまけに一番上に振りまいた砕いたコーヒー豆の苦味が全体を引き締めて大人の味に仕立て上げてくれましたわ。

 苦いけど甘くて美味しいスイーツという相反する魅力がティラミスにはありますわ。

 パクパクパクパクですわ。

 苦い分だけカロリーがゼロなら文句無しですけど早々上手くいきませんわ。

 ティラミスは世の中の苦さを教えてくれる大人のスイーツですわ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る