免許を取ったお祝いにと、ふたりでドライブがてら美味しいご飯を食べにいく、幼なじみ同士の男ふたりのお話。
現代もののボーイズラブでありながら、かなり本格的なご当地グルメ小説でもあるお話です。
いやもう、本当に料理描写の〝ガチ〟っぷりがすごい!
単純に美味しそう、というのもあるのですけれど、それ以上に本物のグルメレポートになっているというのがなおすごい。
作中のお店はなんと実在しており、またそれにまつわるさまざまな描写も事実のようで、その魅力がバリバリ伝わってくるところが最高でした。
リアルならではの魅力、というのはもちろんそうなのですけれど、でもそれをしっかり伝えてくれる筆致の美しさ。
リョウちゃんの人物造形、というか、彼の暴力の描かれ方が好きです。
見ていて本当に嫌な気持ちになる感じの、日常に「当たり前」としてあるタイプの乱暴さ。この不協和音みたいなストレスを浴びながら読み進めた先、お話の着地点にある納得感がものすごく好き。なんだろう、胃の中に重石を飲み込まされたようなタイプの「腹落ち感」のような。
グルメ部分でお腹が空いて、BL部分で胃もたれするくらいの満腹感をくれる、とても強烈な作品でした。こってり系です。