黒姫クロと死神サンタの最期の別れ
黒姫クロと死神サンタの最期の別れ
・拒絶の能力を使わない私に驚いた彼の頭を私はそっと抱きしめる、彼は私のその行動に驚いて動きを止めてしまう、暫く私達2人は沈黙したまま少しの時間が経ち、彼は私に頭を抱きしめられたまま小さな声をあげる
・″ねぇ、クロちゃん?、どうして拒絶してくれないの?″
・″先輩が嘘をついているからですよ″
・優しい声でそう答えると、彼は少し沈黙してから言葉を続ける
・″嘘って?、おじさんは悪い奴だよ、クロちゃんの大事な人も、記憶も、全部おじさんが奪ったんだ″
・″でも、その分、沢山の人を助けたんですよね?、今まで救えなかった人達の為に、だって私はその救ってもらった一人だから分かりますよ、ずっと先輩を見てきたんですから″
・″たかが1月や2月の関係なのに?″
・″時間なんて関係ありません、だって私達は幼馴染だったんでしょう?″
・私はそう言うと彼の頭を解放した、今にも泣きそうな顔をする彼の頰にそって私は右の手を触れさせた
・″ねぇ、サンタ先輩?″
・私はそう呟くと彼の目をしっかり見ながら、私の中にずっと隠していた言葉を彼に伝えた
・″私のような黒姫があなたのような死神を愛してしまってもいいですか?″
・私がそう言って微笑むと彼は少し私から距離を取って俯いてしまう、少し間があってか彼は呟くように
・″クロちゃんは自分の事を卑下にし過ぎだよ、こんなに可愛いのに″
・″私は先輩にだけ可愛いって思ってもらえるなら嬉しいんですけど″
・そして彼はゆっくりと顔をあげる、だが私は彼の表情に驚いてしまう、彼は今にも壊れそうな顔をしていたからだ、そして彼は
・″幸福って平等じゃないよね、委員長とか見てるとよく思うよ″
・彼はそういうと何かを決意したかのような寂しい笑顔を向けて
・″クロちゃんさえ拒絶してくれれば俺はこの世界に思い残すことなく無く消える事が出来たのに″
サンタは顔をあげると悲しそうな顔をしながら右手を覗き込むように話し始めた
・″特にクロちゃんはずっと不幸だったよね、親に捨てられて、孤児院では孤立し、事件に巻き込まれて、おじさんから記憶を奪われちゃう、その上、七姫なんかにされて七姫の呪いなんて受けちゃうんだもん、笑っちゃうよ″
・そう言いながら彼は言葉を続けた
・″でも、それは俺は絶対に許せない、だからクロちゃんにはこれから幸せになってもらっていいんだよ、だってクロちゃんにはその権利がある″
・彼は無理に笑いながら、そう言うと″ブック″といい、彼の近くに″緑色の宙に浮く本″と″銀色のペン″が現れるそして彼は…
・″それじゃあね、クロちゃん、元の世界で幸せになってね、俺はきっとそこには行けないと思うけど″
・″えっ、サンタ先輩、待って‼︎″
・私は必死になって右手を彼の方に伸ばすが間に合わない、彼が一言″第一項目、削除″そう短く呟くと″銀色のペン″が″緑の本″に近づき、本に書かれていたある項目に横線を引く、すると世界は白い光に包まれてしまった、彼は最後まで寂しそうな顔をしながら私を見ていた、後で知った事だがそれは彼がサイトさんから奪った能力だった
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