16章 前半 プロット

16章 シナリオ 過去 前半


初代死神


・本名は赤城刹那、″黒の島″の山奥で育ての親である爺さん(無量)と2人暮らしをしていた、無量は基本無口で顔に傷の付いた厳つい顔をしている、苗字は無量の物を貰っている、両親は物心ついた頃からおらず一緒に住んでいた爺さんからは、″裏に流れてる川から桃が流れてきて、桃を割ったらお前が入っていた″と言われている、純粋馬鹿だった刹那は″マジか!″と目を輝かして信じた、生まれた時から自身のパラメータが壊れていて最初のバグ感染者、初めて魔力を纏った拳を放った時に″山を大きく抉って地形を変えたり″″空を真っ二つに割ったり″と規格外の力を発揮した、刹那の強大な力を知った無量はその力の扱い方を間違えないよう、無量は刹那が人よりも強大な力がある事を伝え、″自分の為では無く、人を守る為に使うよう″何度も諭した、力を抑えるように言わなかったのは刹那が極度の我慢が出来ない子供だったから、刹那は特殊な目を生まれつき持っていて魔力が色として見える

・刹那が14歳の時に無量は病気で亡くなり、刹那は無量が蓄いていたお金を渡されそのまま下山するよう伝えられる、その頃には刹那は魔力操作を完全に取得し、″刹那的には加減が出来ている″行動をとれるようになった、ベッドに横たわる無量は死ぬ間際に自分が昔傭兵(伝説の)をしていて、その任務の途中で刹那の両親を巻き込んで殺してしまった事を話すが、刹那は笑って自分の親は無量だけだと伝え、その事を許す、″昔、お前は桃から生まれたと言ったがアレは嘘だ″″マジかよ!、ふざけんなよ‼︎、ジジィ!″と寧ろその事にキレる、無量は刹那の純粋差に悪い奴に騙されないか最後まで心配する、刹那は最後にプロフィール画面の見方を教えてもらうが″死神″の称号を見て首を捻って無量にその事を聞こうとするが、その時には無量は息を引き取っていた

・無量の遺体を山に弔った刹那はそのまま下山して″黒の島″の1番大きな街に着く、世間知らずな刹那は無量と同じ傭兵の職に就こうと思うが、初めて見る街や人に興奮してその事を忘れて暫く街を探索する、落ち着いた所で傭兵に登録しようと思うがやり方が分からず途方に暮れていた所を霞(将軍の許嫁)に話しかけられる、事情を話すと一緒にいた将軍(武蔵)に馬鹿にされて喧嘩になるが、流れで2人が″黒の島″の騎士になる為の試験を受けに行く事を聞いて、″傭兵よりも騎士の方が格好良くねぇ!″と言って2人に付いていく

・試験内容は筆記試験と実際の黒騎士メンバーとの模擬戦で霞と武蔵は難なくクリアする、刹那は筆記試験は壊滅的だったが模擬戦で相手の黒騎士を一撃で倒し、それを見ていた黒騎士の団長とも対決するがそれも一撃で倒してしまい補欠合格となる、霞と武蔵、刹那は同じ隊に所属し、刹那の規格外に驚きながら徐々に任務をこなしていく

・2年後、刹那が16歳の時に魔族の血を引く者に対する迫害に不満を覚えた魔女達は徒党を組んで暴動を起こす、人間と魔族はほぼ不干渉で中には交流を持つ者もいたがそれを快く思わない者が多かった、魔族の血を強く引いた事で髪の色が銀色になった者に対してあたりが強かった、その鎮圧に刹那や武蔵も参加し、その暴動を率いていた3人の魔女(後に死災と呼ばれる、3人1組の″災厄の魔女″)を討伐した、その事によって刹那と武蔵の名は中央に住む王族の耳にも入る、″天才の刹那″と″秀才の武蔵″と呼ばれるようになる

・暴動は鎮圧されたがその事がきっかけで全国で″魔女狩り″が行われ、生き残った魔女達は人気の無い場所に隠れるように移り住む、それでも怒りが収まらない市民は人間との交流がある魔族にも小競り合いをするようになり、その事がきっかけに2年後(刹那18歳)に人魔対戦が発生する、魔族と人間とは大きな力の差があった為、基本魔族は人間に無関心だったが、人間に興味のある物好きな魔族が人間界に来た所を集団で攻撃して殺してしまう、純粋な血を持った魔族は人間よりも身体能力が高い上、魔力量が多く、魔法を自在に操る為、人類は壊滅的なダメージを受け、中央に住む王族は全員命を落としていた

・それを天界から見ていた創造神が人間に手を貸す為に生き残った者にコアを与え、″巫女″の称号を持つ者に神託を与え、その使い方を流布させた、″一方的な試合だとつまらないからねぇ″、人間はコアによって魔力を安定して保存、生成出来るようになり、固有の能力で対抗し、どうにか窮地から脱する、その頃、プロフィール画面から自身の能力を確認した刹那は″コアのレベルが100″と上限を超えた上にカンストしており、それに合わせて表示された大量の能力の数に″おい!、コアの最大レベルって最大12までだよな?、おれの能力既にカンストしている上にレベルが100なんだが″と言うが誰にも信じてもらえなかった

・刹那20歳、人魔対戦はそれから2年続き戦線は膠着状態だった、コアのレベルが上がってきた事で魔族も無闇に攻撃してこなくなり、その頃にナノ(後の″錬金術師″)が頭角を現していた、魔族の血を強く引いて事で銀色の髪をしていたがその分魔力量が多く、自身の能力で作成した武器(神器の原型)を差し出す事で自身の地位を確立していた、この状態をどうにかしようと考えを巡らせていた刹那達は霞の提案で″黒の島″に住む、年を取らない不思議な男(サイト)に意見を聞く事にした、霞と武蔵はずっと″黒の島″で育っていてサイトとは顔見知りであり、その頃からずっと姿が変わっていない、武蔵は時間の無駄だと言うが霞に引っ張られてサイトの住む家に向かう

・人気の無い場所にサイトの家があり、その中で昼間から酒をあおっている赤髪の男(サイト)が居た、霞が事情を説明して意見を聞こうとするが相手にされず、怒った武蔵と共に家を去ろうとする、だが動こうとしない刹那に気付き、2人は怪訝に思う、刹那はサイトが纏う見た事の無い魔力の色と密度(神力)について質問する、サイトも刹那の異常な程の魔力量に気付きそれを面白く思い″俺なら今の状態をどうにか出来る″と答える、武蔵はそれを信じようとしなかったが、刹那はそれを信じ力を貸してくれるようお願いする、″男相手にただでは手伝いたくは無い″とゴネるサイトに霞に頼む用お願いするが、″Dカップ以下は女では無い″と返され、マジジレさせる、続けて″それにそんなに小便臭いガキ、こっちから願い下げだ、10年後に胸大きくして出直して来やがれ″と言われ更に怒らせる、霞を武蔵が取り終えている中、少し考えた刹那は″分かった!、この戦争が終わったらお前に最高にボン!、キュ!、ボン!の女を紹介する″と提案をし、それに大笑いをしたサイトは刹那達に手を貸す事を約束する

・3人についてくるよう言ったサイトは立ち上がりそのまま外に出る、3人が外にまでついてくるとサイトは能力で″本″を出現させ″宙に浮いてたペン″がそれに何かを書き込むとその瞬間に空が一瞬赤く光り、人間界と魔界の間に結界のようなものが現れる、それを見た3人は呆然とするが、″人間界と魔界の間に結界を張った、これで魔族はこちらに攻めに来れない、約束は守ったんだから最高に良い女をちゃんと紹介しろよ″と言って、欠伸を噛み殺しながら家に戻る、サイトの結界によって魔族は人間界への行き来が出来なくなり、1年もしないうちに戦争が終結する、サイトの力に驚いた3人だったが、他人に説明しても信じてもらえないと思いそのまま黙っている事にした

・刹那22才、戦争が終結し、落ち着いた所で滅亡した王族に代わりに7つの島にそれぞれ代表者を立てる事になった、戦争で活躍した一族を中心に決められ霞の一族(後の青海)にも1つの島の管理を任せられた、刹那達も功績を称えられ、武蔵と刹那は各騎士団の隊長に任命されるが、面倒そうなので刹那は辞退する、サイトの能力を見た事で自分と似たような強大な力を持った者が他にも居るのでは無いのか?と感じた刹那は″もっと世界を見て回りたい!″と思い、騎士をやめて旅に出る事にした、″青の島″に移る武蔵と霞と別れの挨拶をし、時を見て″青の島″に遊びに行く事を約束した、旅立つ前にサイトの所に行き、″世界を旅して最高の女を探してくれるから、約束はもう少し待ってくれ″と伝え、笑って了承したサイトから酒に一杯付き合うよう言われる、初めて飲む酒に酔い気味の刹那はサイトに″何でこんな人気の無い場所に住んでいるんだ″と聞くと、″俺みたいな変人が普通の街に住める訳がねぇだろう″と答える、それを聞いた刹那は酔いながら″分かった!、俺がビックになったら、お前みたいな変人が住んでも目立たない、変人だらけの国を造ってやるよ″と約束し、酔い潰れる

・刹那25歳、3年間、世界のあちこちを旅をしていた刹那は久々に武蔵達に会いに″青の島″に訪れる、西洋風の建物が並ぶ街を歩きながら街の人に武蔵の居場所を聴きながら進むと大きな西洋風の城の前に着く、武蔵の事を聞こうとする刹那だがその風貌から門を護衛していた騎士に門前払いをくらいそうになる所で、それに気付いた霞に城の中に入れてもらう、応接室で武蔵と霞との久し振りの再会を喜び、2人が結婚した事を聞いて祝いの言葉を送る、武蔵は″青の島″の騎士団長になっていて、霞は″青の島″の領主の娘としてそれを支えているらしい、刹那の旅の話になり自分の様な力の強い人間が見つからなかった事や、各地に魔物が出現する不思議なダンジョンを見つけた事を伝える、それを聞いた武蔵は″青の島″でも同じようなダンジョンが出現し、青の騎士が対応に追われている事を教えてくれる、その時に扉から青の騎士が入り、武蔵に緊急の要件があるという事で刹那に一言声を掛けてから部下と共に武蔵が部屋を出て行く、残った霞は刹那に暫くここに滞在する事を提案し、刹那も了承して1度、青海の街を周りたい事を伝え、城下町に買い物に向かう

・″黒の島″では″錬金術師″ナノによって魔物やダンジョンが作成されていた事が判明し、7つの島に連絡がいく、ナノの創造の力を警戒し、それぞれの島で討伐隊が組まれ″黒の島″に集結した、″青の島″でもその連絡があり青の騎士の討伐隊が組まれ、″黒の島″の援護に向かった、3日後に7つの討伐隊が揃い、ナノの住処に襲撃をかけるが陰で完成させていた54個の″神器″と魔物狩りによって上げられていた、ランク10にもなるコアの能力に苦戦を強いられる

・″青の島″にいる武蔵にもその報告が伝わり、武蔵自身も″錬金術師″の討伐に向か為に準備する、それに気付いた刹那は自分も付いて行く事を伝え″大丈夫だ、俺も3年間旅をした事で更に強くなったからなぁ″と言って、武蔵に苦笑いをさせる

・大型で強力な魔物達に囲まれて苦戦する討伐隊の前に武蔵と刹那が現れ、武蔵は目の前の魔物達を一掃すると、″魔物は俺が抑える、刹那、お前は″錬金術師″の元に向かえ!″と大声で叫び、それに頷いた刹那はそのまま走り抜ける、後方で構える″錬金術師″は1人で突っ込んでくる刹那を見て、ニヤリと笑う、神器によって迎撃するが刹那が加速し、一瞬のうちに距離を詰められ一撃で討ち取られる、それを見ていた討伐隊は唖然とし、武蔵は額に手を当てる

・″錬金術師″討伐後に創造された神器は各島に分配される事になった、討伐で活躍した武蔵には神器″鬼切丸″、刹那には神器″ハーメルンの笛″(要らないと伝えるが、どうしてもと言われ″じゃあ、これで″と適当に指差した)が報酬として送られる、″錬金術師″を一撃で倒した刹那に各島の騎士達は羨望の眼差しを向けて、″黒の島″の住人も刹那の功績を称えて、″黒の島″を救った英雄として称えられる、刹那の功績は他の島にも伝わってしまったらしく武蔵から″″赤の島″で近いうちにお前の功績を称えってパーティが開かれるから、絶対に参加するように″と言われ苦笑いをする、その時にパーティに各島の代表と七姫が参加する事を伝えられる、″七姫?って何?″と答えると武蔵は呆れながら、″七姫の称号を持った、その島の象徴みたいな方達だ″と教えられる

・慣れない場に逃げ出した刹那は人気の無いサイトの家に転がり込む、サイトは3年前と変わらず、テーブルに肘をつきながら酒を飲んでいた、″おぉ、英雄様がこんな辺鄙な場所に何かようかい?″と馬鹿にしたように問われ、刹那はムスッとしながら自分はそんな器では無いと答えつつ席に着く、久しぶりの再会に積もる話で花を咲かせていると、サイトはふっと″そう言えば約束の女はどうなった?″と問われる、刹那は1度首を傾げてから自身がサイトとの約束を忘れていた事を思い出し焦りだす、″も、もちろん忘れて無いぞ、近いうちに″赤の島″でパーティがあるんだ、そのパーティに七姫?って言う多分美人さんが参加するからそいつを紹介してやる!″と言い、サイトは笑いながら気長に待っている事を伝えられる、安心した刹那はふっと自身にも″死神″の称号がある事を伝えると、サイトは″それはその時、その時に時代を変える力を持った人間に送られる称号だ″と答え、刹那は首をひねる

・3日後に″赤の島″の中央にある大きな建物で盛大なパーティが開催された、正装が合わない刹那(霞に無理矢理着せられた)は窮屈そうな思いをしつつ、会場のバルコニーで1人ため息を着く、刹那の力に興味を持った各島の代表達から代わる代わる挨拶があり、その中でも″赤の島″の七姫様は刹那の事をえらく気に入ったらしくグイグイ迫ってきては刹那を困らせた、心の中で″性格は悪そうだけど顔は美人で胸はデカいし、サイトにはこの女を紹介するか″と思いながら外を眺めていると、ふっと外で1人で座ったまま、佇んでいる少女に目が入る、その様子がどうしても気になった刹那はパーティ会場を後にして外に出る

・刹那が少女に近づいていくと月明かりに照らされいた少女の姿がはっきりと見えてくる、小柄で触るとすぐに壊れてしまいそうな不思議な雰囲気を持つ少女に刹那は目を奪われる、少女はこちらに気付き″あら、英雄さん、こんな辺鄙な場所に何かようでしょうか?″と戯けるように尋ねてくる、一瞬、夢から覚めたような顔をした刹那は1度首を振り、″ああいった場所は堅苦しくて苦手なんだよ″と答え、″お前こそ、こんな場所で何をしているんだ?″と返すと、少女は上を向き″月を見ていたの、私は嫌われ者だからお月様からお迎えが来ないのかと思って″と寂しそうに答える

・刹那が返答に困っていると少女はくすりと笑い、″困らせてしまってごめんなさい、ここであったのも何かの縁ですし、もし宜しければ英雄さんのお話を聞かせてくれる″と問われ、刹那は了承し少女の隣に座る、刹那は少女に住んでいた山の事やこれまでの経緯を取り留めもなく話した、少女は話の合間に″まぁっ!″″それで″と嬉しそうに相槌をうつので、その反応に嬉しくなった刹那は矢継ぎ早に話を続けた、時間はあっという間に経ってしまい、気付けばパーティの終わる時間になっていた、少女との別れが惜しんだ刹那は少女に名前と住んでいる場所を訪ねる、少女は少し考えてから立ち上がり″私は月に住んでいるお姫様、もしまた私に会いたくなったら月までお迎えに来てね″と答え、″英雄さん、今日は本当に楽しかったわ、また会えた時には今日聞かせてくれたお話の続きを聞かせてね″と言いその場を離れてしまう

・後日、青海の城の中で刹那はパーティで会った儚げな少女の事を忘れられず、テーブルの上でうねっていた、時折、″月ってどうやったら行けるのかな″と独り言を漏らしては忙しい武蔵と霞の代わりに入り口の側で控えていたお手伝いさんに怪訝な目で見られていた、パーティが終わった後にパーティ会場で彼女の姿を探したが見つからず、武蔵と霞に詰め寄って彼女の事を知らないか聞いたがパーティに参加したメンバーの中にはそんな少女はいなかったと答えられた、どうにかしてあの少女とまた会う事は出来ないかっと刹那は頭を悩ませつつ、テーブルの上を転がり始めた所で武蔵が部屋に入ってくる

・″何をやっているんだ″っと呆れながら言った武蔵は刹那の向かいの席に腰を下ろす、刹那もテーブルから降りて、武蔵の向かいの席に戻ると″赤姫様からお前宛に手紙が届いている″と言われて刹那は嫌そうな顔をする、武蔵から渡された手紙を恐る恐る開くと、案の定、先日のパーティの事から刹那に対する熱烈なラブコールが手紙いっぱいに書き綴られていて、途中で読むのが嫌になった刹那は読む事を放棄して近くのゴミ箱に手紙をダイブさせた、その事を武蔵に咎められるが刹那は素知らぬ顔でそれに答える、″何であの姫さん、おれがここに居るって知ってるんだ″と刹那がぼやくと″あぁ、それは俺が教えた″と武蔵が答え、刹那は目の前の男を睨みつける、そこでふっと刹那は先日のパーティで七姫の中で″黒の島″の姫だけには会わなかった事を思い出す、何故かその事が気になった刹那は武蔵に黒姫について聞いてみる、武蔵は少し迷ってから″あまり公にはされていないが黒姫様は七姫でありながらコアが無いらしい″と答え、″コアが無い?″″そうだ人魔対戦時に神からコアを与えられず、戦線には出ないで城に閉じこもっていたらしい″と言い、″その事もあって″黒の島″の住人には″臆病姫″″無能な黒姫″と呼ばれ蔑まされているそうだ″と苦々しい顔をしながら伝えられる、刹那の中でそういった黒姫境遇があの月夜に会った少女の姿と重なり、刹那は″黒の島″に行って黒姫に会う事を決意する

・″黒の島″に着いた刹那は船から下船しながら、″青の島″から出る時に武蔵に言われた言葉を思い出していた、″″黒の島″の領主は黒姫様の事を国の恥だと思い、部屋に閉じ込めて誰にも会わせないようにしているらしい″と、自分では正面から行っても会わせてもらえないかもしれない、そんな事を考えながら黒姫の住んでいる城に歩みを進める、″錬金術師″の討伐で顔が知れた刹那は街の住人に声を掛けられながら城に向かい、黒の騎士達に見つからないよう城の周囲を散策する、城の周りは塀で囲まれていたが、自分の身体能力なら軽く飛び越えられるだろうと、それを確認した刹那は1度街に戻り、1度宿で休んで夜が来るのを待った

・辺りが暗くなってから刹那は他の宿泊客に気付かれないよう音を立てずに窓から外に出る、少し早足で目をつけていた場所まで向かい、塀の近くまで寄ると周囲に人がいないのを確認して、脚に魔力を集中させて瞬く間に塀を飛び越えていった、少し脚に魔力を集中させ過ぎた刹那は着地の際にバランスを崩すが、脚に力を集中させてどうにか踏みとどまった、どうやって黒姫のいる部屋を探そうか、そんな事を考えながら城に近づいていくと2階の窓から見覚えのある少女が月を見上ている姿が見えた、少女がこちらの気配に気付きゆっくりと顔をこちらに向ける、刹那の姿を見て驚いた顔をした彼女に刹那は声をかける″おい、お姫様、月まで探しに行っても見つからないから、お姫様の囚われている城までわざわざ会いに来てやったぜ″と、それを聞いた彼女は嬉しそうに″あら、英雄さん、こんな辺鄙な場所に何かようでしょうか?″と初めて会った時と同じ問いかけをする、″俺は英雄さんなんかじゃない、刹那って言うんだ″と刹那が言うと″あら、私もお姫様なんかじゃなくて輝夜って言うの、刹那さん、良かったらまたあの時の話の続き、私に聞かせてくれる″と首を傾げて笑う輝夜に刹那も笑顔で答える

・輝夜と再会を果たしてから1ヶ月が経過した、刹那は夜な夜な宿泊している宿から抜け出しては人目を阻んで輝夜に逢いに出掛けていた、最初の頃は刹那の話を嬉しそうに聞いているだけだった輝夜も、少しずつ輝夜自身の事を話し始めるようになった、武蔵から聞いていた通り輝夜は七姫でありながらコアを与えられず、街や城に住む人から疎外され、蔑まされているらしい、″私が七姫だと分かった時は

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