第93話 Sランクなんていらない
召喚状内容は、魔道船を王家に寄贈しろと言うものと、その功績を持ってSランクに昇格させると言うもの。
Sランク昇格の条件は、活躍の実績も必要だけど、王家に認められなければならないのだ。
ミシェルやケンジの話では、スタンピード戦の活躍だけで、充分Sランクに見合う活躍だし、実力としても申し分ないはずだとは言うんだけど。
なんか、Sランク授与なら絶対に断らないだろう、なんて上から目線で魔道船献上しろだなんてふざけてるなあ。これが、スイーツ普及の貢献度でSランク授与なら喜んで受けるのに。
首に縄つけられたあげく、魔道船も奪われるって、アタシにメリット何もないんですけど。
そんな訳で、アタシはこの国を出ようかと思っている。
ユリースは、家を完全に捨てるまでの決心はつけられないし、貴族としては王家の命令に従わざるを得ず、逆らえば家にも迷惑が掛かる。アタシの足枷にもなりたくない。
そんな訳で、ユリースはアタシ達と別れる事にした。
そして、この場にはお別れする人として、ユリース、アリシアの他に後二人。ミシェルとケンジだ。
二人は元々、スタンピードで一緒になっただけなんだけど。ドラコン素材の売上の分配と祝勝会も兼ねているので来てもらった。
二人はSランクのため、冒険者ギルドを通してある程度、所属国の影響下にある。下手すれば敵対する可能性もあるし、一方で彼らと一緒にアーティザン国を出るとなると、冒険者ギルドがアタシに資格剥奪までする可能性もある。
そんな訳で二人ともここでお別れ。
ミシェルはともかく、ケンジはSランク返上してでもアタシに同行したい、って言ってたんだけどね。
アタシは自由を求めるだけで、まだ本格的にアーティザン王国と事を構えるつもりはないので、このタイミングでケンジの引き抜きはマズイ、と彼を説得したのだ。
「米は海洋国家フォジオンにあるらしいけど、僕もまだ手にいれてないんだ。ゲット出来たら、是非僕にも売ってほしい」
「もちろんだよ。それと、カレパやる時は呼ぶからね」
フォードで別れ際に『米』の話をしたらケンジが驚いたとおり、やっぱり彼は転生者だった。幼少期のある時、前世の記憶が戻ったらしくて。
米が手に入ったらカレーライスでパーティーの話に、大乗り気であった。
そんな訳で四人とはお別れ。アタシはスーリヤ、ベゼリーと魔道船で気ままな旅をする。もちろん、ナツコさん、マーニャ、ピナッチも一緒。
レストランで美味しい料理を一杯食べて、食後のデザートは当然持ち込みの……
アイスクリームとチョコレート、それに、チーズケーキだ!
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