第92話 お別れ会
空飛ぶ船にランテルム公爵や冒険者達も唖然としていたけど、アタシはスーリヤやミシェル達も回収して、魔道船の攻撃設備で残敵を掃討することにした。
特にミシェルやユリースの魔法で攻撃すると、マルチロックオンで的確に倒していける。スタンピードが落ち着くのは時間の問題だった。
問題はその後。当然、こんな強い兵器に見えるものが鮮烈デビューしちゃったから、王公貴族が黙ってる訳ないよね。
ランテルム公爵にも呼ばれて、面会した訳なんだけれども。
「その魔道船があれば、軍事に革命が起こるぞ。それに、移動力、輸送力を考えれば、冒険者ギルドも商業ギルドも放っておかないだろう。それをアーティザン王国に売ってもらう事はできないか?」
「無理。アタシが欲しくて手にいれた、ダンジョン攻略のご褒美だからね。ダンジョン攻略すれば他の人でもヒント貰えるかもしれないよ」
公爵はやっぱりこの船欲しがったか。量産されたらこの世界が激変しちゃうかもだし、そこまでアタシは責任持ちたくない。欲しかったら自力で手にいれるんだね。ヒントだけ出して、魔道船への熱意はダンジョンに向けてもらおう。
アタシはジェコスの事を公爵に言おうか迷ったけど、あまり責めるとユリースが可哀想なので止めた。魔人の正体は黙っておく。
アタシ達はそのまま魔道船でフォードへ、途中、モンスターを掃討しながら向かった。フォードには巨人の集団が襲っていたけど、ケンジが活躍して、なんとか防ぎきっていた。最後はアタシ達も手伝って防衛戦をようやく終える事が出来た。
犠牲者も出たけど、こうしてランテルムとフォードを襲ったスタンピードは終わった。
それから一週間過ぎて。
アタシはドラゴン素材のオークションや魔道船の買取り打診等で権力者や冒険者ギルド上層部、さらには商業ギルドまでも接触を図ってくるようになり、ちょっと、じゃない、非常にめんどくさい事になってきて。
今日はランテルムのレストラン個室を借りて、スタンピード祝勝会とお別れ会だ。
まず、ユリースとアリシアはアタシ達と別れて公爵家に帰ることになった。
元々、アタシに迷惑を掛けた理由から、冒険者ランクBになるまでの条件で家から放逐されていたのがユリースで、その護衛がアリシアだ。
晴れて冒険者ランクBになったのだから、ユリースが帰るのは当然だし、アタシも良かったね、と言いたいところなんだけど。
「このまま一緒に居ると、御迷惑をお掛けすると思います」
ランテルム公爵は、アタシに負い目があることからも無理強いはしてこないと思っていたんだけど、スタンピードの報告を聞いたアーティザン王家から、アタシに召喚状が届いたのだ。
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