第91話 スタンピード終結
魔人ジェコスと何度も打ち合うも、アタシの槍捌きは遂にジェコスの剣を弾き飛ばした。このままトドメっ!
アタシは必殺の一突き、瞬歩やひねり・ねじりによる重心移動等、全運動エネルギーを乗せた轟突、アサルト・ストライクを放つ!
グゲェッッ!
ひしゃげたカエルのような声をあげるジェコスの鳩尾にブッ刺してそのまま、槍を身体毎水平に回す。槍版ジャイアント・スイングだ。スイング軌道を斜めに変化させ、最後は空中に高く、出来るだけ真上にちかくなるような角度で放り投げる。
槍を地面に突き立て、身体に纏った影肌を両手に集める。影冥穴弾と同じ要領で、ただし、圧縮し過ぎないように掌に溜めて、最後に掌の表面に強い光属性の魔力を集めて、瞬間的に爆発させるように影の魔力を反発させて発射ー
影色の奔流が空に向けて発射され、ジェコスを呑み込む。
名付けて、カゲハメ破!なんちゃって!
影の奔流が消えると、そこにはもう、何も残っていなかった。これでジェコスとのケリは完全に着いたかな。
ジェコスは、自分が終わるのだと感じていた。眼前のオーガのような敵は強い。自分の魔刃も効かず、繰り出してくる攻撃はかわせず、今も腹に槍を差し込まれた。
痛みに意識が薄れそうになるなか、そのまま宙に放り投げられる。
混沌の渦に力を貰ったのに何故自分は負けるのだろう? あのお方には好きに生きろと言われたのに、何故これで終わりになるのか。
まあ、良い。かなりの数を殺した。メスガキ、いや、メスオーガに勝てなかったのだけは残念だが。
ジェコスは黒い奔流に包まれて何も考えられなくなり、ただの魔素となって消えた。どんな極悪人でもただの魔素になれば世界へ帰る。やがて、再び魔素の流れに乗る事も意識せずに。
星と地脈と混沌の渦は、そこに巣食う存在の意思に関係なく、全ての魔素をただひたすらに平等に扱うのであった。
アタシは影空間に潜って変身を解除し、着替える。ここからはもう、掃討戦だね。
アタシはそのまま影空間を移動して、魔道船の甲板へ。
「ベゼリー!」
久々の再会に。魔道船の完成に。良いところに駆けつけてくれた事に。
アタシは感極まってベゼリーに抱きついた。
「久しぶりだなぁ、ペネロッテ。魔道船、出来たぞ」
「もう、最高のタイミングだよ!それに、また会えて嬉しい……」
アタシ達はしばらくお互いに抱きついてたけど。
「さあ、魔人共は居なくなったから、残りを片付けるわよ」
ナツコさんにそう、話しかけられて。
よし、やろう。こっちを片付けたら、フォードにも戻らないとね。
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