第22話 悪意が近づく
虹魔石のクエスト報酬は、なんと金貨8枚。
これでアタシの財産は、金貨11枚、大銀貨6枚、銀貨6枚、銅貨43枚。ちなみに、冒険者ギルドの宿泊費とか食費は格安でした。
エデンさんにお願いして、鉄屑を用意してもらい、これに錬金術で、フライパンや鉄皿、お玉とかフライ返しとかトングとか、旅の自炊生活に必要そうなものを作成。
鉄製だからちょっと重いのが玉に傷。アタシの腕力的には問題ないけど、そのうち、ステンレスとかアルミが手に入れば良いなあ。
その他、冒険者ギルド雑貨の中から、リュック、革袋、樽、木箱等を購入。
アタシの影空間収納って、影空間に適当に散らかってるのが、向こうに潜った時に気になってたんだよね。
なので、これらを使って整理整頓です。革袋は、ワイン用と、水用。いつもナツコさんが居る保証もないのだ。
その他、大カエルの皮を加工した、防水シートや毛布、ランタン等も準備した。後は、明日に備えて……って、今日もアイスクリーム作るの?!ソニアさん!
エデンさんとこには、魔道具で冷蔵庫があるから大丈夫?!
そうか……それならば、アタシの旅途中用のオヤツ分も確保しちゃおう。
影空間は時間動かないしね!
そんな風に過ごして、いよいよ翌日。冒険者ギルド出張所に、1人の騎士がやって来た。
ランテルム公爵家騎士ジェコス・ゴリデスは、野心と猜疑心にまみれた男であった。
今回の虹魔石の探索を出世のチャンスと捉え、ユリースの身を案じるよりは、誰が成果を上げるのかが肝心と考えていた。
それがどうだ、一介の冒険者が虹魔石を納め、公爵から報償を与えるためにランテルム家に案内されると。
よりによって、その役目が一番近くにいた自分に回ってきた。
アーダンの生死などどうでも良いが、むしろチャンスになるかも、とジェコスは思い付く。
きっとその冒険者は、アーダンを手助けしながら裏切り、手柄を一人占めしたに違いない。自分はその不正を暴くことによって、虹魔石ほどではなくとも名誉を得るのだ。何、騎士であり男爵でもある自分の言葉は、たかが冒険者と比べるまでもない。
冒険者ギルドにやって来たジェコスは、エデンとペネロッテを前にして話し始めた。
「ジェコス・ゴリデス、騎士であり、爵位は男爵だ。まずは、アーダンの遺品を見せてもらおう」
ジェコスの雰囲気にエデンとペネロッテはキナ臭いものを感じたが、ペネロッテが影空間からアーダンの剣だけをその場に出して見せる。
「確かに、ランテルム公爵家騎士が叙勲の際に下肢される剣だ。アーダンの最後はどのようなものだった?」
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