第21話 改めて今後の予定
モルダバー伯爵領リデル村冒険者ギルド出張所から、ランテルム公爵領公都ランテルム冒険者ギルドへ。
至急、ランテルム公爵へ連絡をつけられたし。広域依頼のあった虹魔石、当出張所において冒険者により入手。なお、騎士アーダン・ドルアンテの死亡も確認。繰り返すー
その夜、冒険者ギルドの秘匿回線で頻繁なやり取りがなされ、なおかつ、ランテルム公爵家と冒険者ギルド間の早馬により、虹魔石は無事、ランテルム公爵家に渡った。
ランテルム公爵は愛娘ユリースの治療はもちろんの事、各地へ散った騎士達への帰還命令、冒険者ギルドへのクエスト終了手続き、そして、アーダンの遺品回収と、功労者への謝礼の方法について、手配に追われるのであった。
翌朝ー
目の下に隈を作ったエデンが、眠気覚ましにコーヒーを飲んでいるところへ、ペネロッテが降りてきた。
「おはよ~、エデンさん」
「おはようペネロッテ。夕べはすまなかったな」
「いや、いいよ。アタシがちょっと抜けてただけだし。世間知らずな元オーガだから仕方がないんだけどね」
エデンさんは近寄ってくると、そのままアタシを急に抱き締めた。
なっ、はにゃあっ!
「そう言うなって。今回の事は誰も悪くない。強いて言えばキツイ言い方しちまった俺が悪い。本当にすまなかった」
アタシがイケオジボイスにバクバクしていると。
「そーよ!アンタが悪いのよ。ウチの子を悲しませて!詫びにこの子の冒険者ランク上げなさい!」
ナツコさん、それは無茶ぶりでしょう!
思わずアタシが笑ってしまったところで、ようやく雰囲気が落ち着いた。
「飲むか?」
エデンさんが黒い飲み物を進めてくれる。この匂いって?!
「これって、コーヒー!」
「南方産の黒豆から抽出される飲み物だ。カフェーとか言ってたな。お子様にはちいとばかし苦いかもな」
飲めない事もない。まがう事なきブラックコーヒーだ。でもアタシはミルクと砂糖を所望する。
苦笑するエデンさん。
こっちの方が旨いの!
そのまま、朝食にパンと目玉焼きを頂戴していたところで、エデンさんから説明があった。
「ランテルム公爵令嬢ユリース様の治療は成功したそうだ」
そっか!良かった~!
へにゃあとアタシはカウンターの上に溶け始めた。
「それで、だ。公爵とすれば、クエスト報酬と別に、是非ともお前さんに御礼をしたい、と。それから、アーダンの遺品も回収したい、と。その為、迎えを寄越すとのことだ」
えっ!
「近場の騎士が迎えに来る。到着は明後日の予定だ。それから、これは俺からのねじ込んだ依頼だが……」
エデンさんの話によると、その騎士との移動時間は護衛クエスト扱いにしてくれたらしい。護衛クエストと、広域クエストのクリアで、ランテルム公爵家に着いた時点でランクCに上がるんだそうだ!
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