第15話 冒険者ギルド出張所

「そこは話せば長くなるんだけどね。冒険者じゃないんだけど、とりま、素材の買取りとか泊まるとこの確保って、ここで出来るのかな?」

「冒険者以外への対応も冒険者と同様だ。村の雑貨屋とか滅多に居ない旅人用の宿も兼ねてるようなものだからな。それから、冒険者登録も出来るが、12歳からしか登録出来ない決まりだ。嬢ちゃんにはまだ早いかな、冒険者なら、素材によってはクエストクリアとなるんだけどな。」


 詳しく聞くと、この村の名前はリデル村。小さな村なんだけど、背後に構えるエッセルス山脈への入口なんだそうな。


 その為、冒険者は多くはないけど、たまにやってくる。それから、村には元々宿泊地もお店も無かった。


 そんな訳で冒険者ギルドの出張所が開設され、職員はたった一人エデンさんだけが派遣された。最初は左遷されたと思ったそうだけど、元々はどっかのギルドマスター補佐で、ここでは受付から登録処理、解体、宿屋まで何でもこなさなければならない。村人とも仲良くなれなきゃいけない。さらには、自ら冒険者として戦う必要もある。


 一人冒険者ギルドとして、次代のギルドマスター見習い中だと言うことをギルド本部から明かされ、今では納得もしたけど、それがウソだとしても、リデル村が気に入ってるらしい。ただ、実際にギルドマスター権限は解放されてるんだそうな。



 アタシは、山のログハウスに婆ちゃんが住み着いた事の情報とか、道中の襲ってきた魔獣の情報を話して、素材の買取りもしてもらうことにした。その流れで……


「そう言えば、アタシこれでも12歳だよ。冒険者登録出来るかな?」


 エデンさんはビックリ。


 嘘じゃないんだ。進化前のオーガ生足すと12歳になる。


 ちょっとまってろ、と言って、エデンさんは奥の部屋から両手に乗る位の大きさの水晶を持ってきた。


 促されて水晶に右手を乗せる。しばらくすると……


「お前さん、ハイ・オーガなのか!初めて見た!」


 あ~、やっぱ鑑定系の水晶なのね。正体バレたけど、さて、どうなる?


「それだと、登録出来ない?」

「あ~どうだろ。でも、過去にはドラゴンの登録事例もあるし、何よりも、水晶が登録を認めている。これは、単なる鑑定じゃなくて、神の審判の力なんだ」


 犯罪歴を通常は調べてると思われがちだけど、その存在の善性を確認しているので、人間社会から一方的な判断はしないんだってさ。


 たまに貴族の馬鹿息子が冒険者登録に来て、拒否されるらしい。善性が否定されるって……





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