初めての人里

第14話 ハチミツ!

 アタシは乱戦状態の中、一突き毎に蜂を落としていたけど、何しろ高度の高いとこにいる蜂はいちいち相手していないのだ。


「キリがないから、ボス探すね!」


 影空間に自ら飛び込み、異相側から、蜂の巣を探すと、ちょっと離れた所にありましたよ、でっかいのが!一軒家位の大きさだ!


 どうしようかと思ったけど、異相側からなら……いた!女王蜂!


 影空間から槍を突きいれるだけの簡単なお仕事でした。巣に残っている幼虫とかも同様に処理して、後は影空間収納に仕舞っておしまい!


 ピコーン!


『LVが5になりました。HP:400→600 MP:60→140』


 一気にLV上がった!


 この世界では、ステータスは訓練その他で上がるみたいで、レベルによる上昇はHPとMPだけみたいね。


 それよりもですよ!


 大量のハ・チ・ミ・ツ、ゲットだぜ~!


 これで小麦粉と卵が最低限手に入れば、

 パンケーキ食べたいっ♪

 パンケーキ食べたいっ♪


 異世界スイーツだぁ~!



 そんなこともあり、ようやく麓まで降りてきました。村が見えたけど、山側には木柵が張り巡らされていて、木の扉がある。山からの害獣避けだろうね。きっと反対側の村の入り口には、門番がいたりするのかなあ。


 さて、中に入れるのかな?


 近づくと、中の畑で作業している人が見えたので聞いてみる。


「すいませ~ん!ここ、中に入ってもいいの~?」


 アタシの声を聞いたおっちゃんはビックリして近づいてきた。


「おめー誰だ?この村のモンではねーのに山から来たのか?迷子か?」

「旅してて、山越えして来たんだよ。だから、こっちは初めてなの」

「こんな小さいのにか!親は!?」

「居ないよ。婆ちゃんとは一緒だったけど、途中でお互いに用があって、別れた」

「なんとまあ……まあ、ともかく入れ入れ」


 こうしてアタシは、異世界ギャレーリアで初めて人里に足を踏み入れたのだった。


 村のなかには小川が流れ、日本の昔の風景そっくりの水車小屋があったりする。 村は広場を中心に、放射状に家々が立ち並び、外縁に畑や放牧地があるみたい。


 と、言うことは 、きっと卵とかミルクがあるのかも!あったら良いなあ!


 アタシはそのまま、中央広場沿いに建つ、冒険者ギルドの出張所があるってとこまで案内されて、詳しいことは中の人エデンさんに聞くように と、引き渡された。


 エデンさんは、40代のイケオジって感じかな。


「こんな山村に小さな女の子と珍しい空魚か。いったいどうしたんだ?」


 う~ん、どんな風に話すべきかなぁ。



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