第13話 旅立ち

 極楽鳥はマナ・バードとも呼ばれるらしく、アタシは極楽鳥の雛にマーニャと名付けた。


 濡れた羽毛が乾いたら、マーニャはオレンジフワフワでアクセントに極彩飾なラインの入ったオシャレヒヨコだ。


 鹿肉も熊肉も、小さくしたのをあげたら、ご機嫌に啄んでいるけど、一番反応が良かったのは大バッタの足だった。まあ、こいつばかりは調理するつもりもなかったので丁度良いや。



 旅の計画を立てるに当たって、まず目的は、ランテルム公爵家のユリース令嬢の病を治すため、アーダン・ドルアンテと言う死んだ騎士の意思を継ぎ、虹魔石を届けると言うこと。


 当面は、麓まで降りて、人里で情報収集。それから、異世界物の定番だけど冒険者なんてなれるんだろうか。腕っぷしは、結構良いとこまで行くと思うんだよね。


 ガイア師匠は、このままログハウスに残るらしい。元々自然の中で生活するのが好きだったという事で、確かに進化前の大婆様の時もそうだった。


 アタシ達は、その夜も美味しいものを食べながら談笑して眠りについた。



 翌朝ー


「それじゃあ、ガイア師匠、行ってきます!」

「別に帰ってこなくて良いからね。アタシが気まぐれで旅に出ることもあるだろうし。アンタも好きに生きな」

「そっか、うん。そうする!」


 そもそも、ここは師匠の家(正確にはそれも違うが)だし、アタシの帰る場所はまだないんだ。アタシはアタシの住むところをいずれ見つけ出そう。



 こうして、アタシとナツコさんとマーニャは山を降りるのであった。




 山を降りながら、襲ってくる一角ウサギや大バッタ、猪とかを槍で軽くあしらい、影空間収納の中身を増やしていた所、今、目の前に居るのは、秋田犬位の大きさでホバリングしている大蜂。


 腹筋するかのようにお尻の先をこっちに向けて、尻先の針をこれ見よがしに伸縮させている。


 なんとなく、男が腰をへこへこさせてるかのようなイメージを感じて不快。


「自慢のイチモツだからって、見せびらかすな!」


 マーニャをナツコさんに預け、峻歩からの槍の一突きで絶命させるけど、次から次へと仲間がやってくる。


「ナツコさん、離れてて!それとも影空間に隠れる?!」

「それも良いけど、アタシだって戦えるわよ!マーニャも手伝いなさい!」


 ナツコさんはそう言うと、無数の水の短槍を魔法で生み出した。


「ピイ~!」


 マーニャが鳴くと、水の短槍が氷結する。極楽鳥は魔力の属性を自在に操れるらしい。


 ナツコさんの操作で、大群の大蜂が次々と撃ち落とされていく。正直、アタシより空魚&極楽鳥コンビが大活躍してる~アセアセ。







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